2011 Fiscal Year Annual Research Report
eNOSアンカップリングによる血管内皮機能障害の機序と病態への関与についての研究
Project/Area Number |
22790712
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 英一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (50573614)
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Keywords | 循環器学 / 血管内皮機能 |
Research Abstract |
高血圧の罹患者は本邦で約4000万人にものぼるといわれ、いまや国民病ともいえる。高血圧において最も問題となるのはその心血管合併症であるが、われわれはこれに深く関与する血管内皮の機能異常病態について一貫して研究をすすめている。 本研究は、血管内皮機能異常の一因として最近注目されている"eNOSアンカップリング"という内皮細胞に局在する一酸化窒素合成酵素(eNOS)の機能異常現象の、発症機序と病態における役割について検討するものである。我々の以前の基礎研究では、血管eNOSアンカップリングに酸化ストレス誘導性の酵素であるASK-1という分子が関わっていること、高血圧病態モデル動物への投薬によるeNOSアンカップリングの改善が、血管内皮機能のみならずモデル動物の心拡張不全をも改善させることを見いだしている。 本研究ではこれらの知見をさらに推進し、ASK1遺伝子欠損マウスから単離した血管内皮培養細胞に対して高血圧において生体内で増加することがしられる各種ストレス刺激を添加し野生型マウスと比較することで、ASK1がeNOSの補酵素BH4の産生酵素であるGTPCH-1の産生を制御してeNOSアンカップリングに関与することを見いだした。 また我々は、実際の拡張不全心不全患者の重症度が血管内皮機能の障害度と相関することを見いだしているが、これらの患者でのeNOSアンカップリングの指標である血中BH4濃度も、血管内皮機能障害の程度と相関する可能性が示唆された。つまり、拡張不全心不全において、血中BH4が新しいサロゲートマーカーたり得る可能性が示唆されている。 これにより、いまだ病態の詳細や治療法も明確になっていない高血圧性拡張不全心不全に対する新たな診断および治療法の確立に大きく寄与できると考えている。
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