2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋特異的(プロ)レニン受容体欠損が起こす著明な血管繊維化発症機構の解明
Project/Area Number |
22790729
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三戸 麻子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20468474)
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Keywords | (プロ)レニン受容体 / 血管平滑筋細胞 / 繊維化 / V-ATPase |
Research Abstract |
我々は血管平滑筋特異的(プロ)レニン受容体[以下(P)RR]ノックアウトマウス[以下CKOマウス]を作成したところ、著名な血管の繊維化により20週齢で死亡することが判明した。本研究の目的は(P)RRと血管繊維化の関連を明らかにし、血管繊維化に対する新たな治療を開発することであり、具体的には(1)血管平滑筋特異的(P)RR欠損による血管繊維化の病態、(2)血管平滑筋細胞における(P)RRとV-ATPaseの関係を明らかにすることが本研究の目的である。著名な繊維化を起こしたCKOマウスの腹部大動脈を電子顕微鏡で観察したところ、血管平滑筋細胞内に空胞が過剰に沈着し、未消化の細胞内小器官を含み巨大化したautophagosomeが多数認められ、それによる細胞死が繊維化の一因と考えられた。細胞内オルガネラが正常に機能するためにはオルガネラ内部の酸性環境が必須であり、その機能維持にV-ATPaseの存在が不可欠である。そこで(P)RRとV-ATPaseの関与を検討するために、我々はFloxed(P)RRマウスより血管平滑筋細胞のprimary cultureを作成し、creアデノウイルスを感染させることで(P)RRノックアウト培養血管平滑筋細胞を作成した。研究実施計画に基づいて、ライソトラッカーを用いて培養血管平滑筋細胞内pHを比較したところ(P)RRノックアウト培養血管平滑筋細胞ではcontrolと比較して細胞内pHの上昇を認めた。また、培養血管平滑筋細胞におけるV-ATPaseサブユニット発現をウエスタンブロット法で評価したところ、V1セクター構成因子であるsubunitE2の発現には変化を認めなかったがVoセクター構成因子であるsubunit Cの発現低下を認めた。(P)RRはV-ATPaseVoセクターの構造維持に必須のタンパクであることが示唆され、細胞の機能維持に重要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)