2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者に対する血糖管理強化療法が冠動脈不安定粥腫の安定化に与える効果の検討
Project/Area Number |
22790736
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
藤井 健一 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90434943)
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Keywords | 冠動脈不安定粥腫 / 糖尿病 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
平成22年に登録した22名の糖尿病罹患患者の治療法を無作為に2群に振り分けた(11人の積極的血糖コントロール群(HbA1c<6.5%を目標)と11人の通常血糖コントロール群(目標HbA1cを設定せず))。18か月のFollow-up観察期間中、1名が非心臓死、1名がFollow-up時のIB-IVUSおよびOCT検査を拒否にてFollow-up不可能となったが、残りの20名に対して登録から18か月後にFollow-upのOCT(光干渉断層画像)およびIB-IVUS(血管内超音波)検査を施行した。18か月後、積極的血糖コントロール群と通常血糖コントロール群でLDLコレステロールを含む脂質profileの変化率に有意な差を認めなかった。また、high-sensitive CRPやinterleukin-6をはじめとする血中のバイオマーカーにも有意な差を認めなかったが、HbA1cの変化率には有意な差を認めた(-1.6±1.1%versus 0.3±0.4%,p=0.03)。空腹時血糖値の変化率には差を認めなかった。IB-IVUSで計測した冠動脈プラーク体積や脂質リッチプラークの占有率に関しても積極的血糖コントロール群と通常血糖コントロール群で差を認めなかった。また同様に、OCTで計測された繊維性被膜厚の変化(2.6±8.1vs. 3.9±6.9μm)、Lipid pool最大角度の変化(21±32vs.18±19°)にも両群間で有意な差を認めなかった。昨年度と本年度の結果を総合的に判断すると、急性冠症候群を発症した糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ、責任病変部位以外の冠動脈にも将来血管イベントを起こす可能性の高い冠動脈不安定粥腫を多数有していた。しかしながら、これらの不安定粥腫を18か月間かけて厳格な血糖管理を行っても、これら不安定粥腫を安定化させることはできない。よって、過去の大規模臨床試験でも示されたように、糖尿病患者においては冠動脈疾患発症後に厳格な血糖コントロールを行う意義は少なく、冠動脈疾患を発症させない管理が必要であると考える。
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