2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害形成過程における細胞内カルシウム動態の研究
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22790740
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
久留島 秀朗 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (70550870)
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Keywords | 脳血管障害 / 動脈硬化 / カルシウムイオン |
Research Abstract |
細胞内カルシウム濃度の上昇は細胞内シグナル伝達の柱の一つである。小胞体からのカルシウム放出により惹起される細胞外からのカルシウム流入はStore-Operated Calcium entry(以下、SOCE)と呼ばれるが生理的・病理的な意義は未解明の部分が多い。STIM1蛋白質は小胞体内のカルシウム濃度を感知し、SOCEを開始させる。これまでの報告からSTIM1蛋白質は血管内皮細胞の増殖、血管平滑筋細胞の移動、血管の収縮に関わるカルシウムチャンネルなどに影響を及ぼしていることが報告されている。このことからSTIM1蛋白質は、動脈硬化を基盤として生じる脳血管障害の種々のレベルに関与していると考えられ、本研究においてこの点を明らかにしていくことを目的とする。これまでの研究からマウスモデルにおける免疫組織染色において、大動脈プラーク周囲にSTIM1蛋白質の染色性を認める細胞が浸潤していることが観察された。プラークと正常血管との境界領域においてSTIM1蛋白質が強く発現していること、STIM1蛋白質で染色される細胞は免疫組織染色での染色性や局在からからマクロファージと考えれる。このことからSTIM1蛋白質は動脈硬化の進展に強く関与しているものと考えられる。マクロファージは、大きく動脈硬化を促進的に働くと考えるM1マクロファージと抑制的に働くと考えられるM2マクロファージに分けられる。上記の結果からSTIM1が単球からM1/M2マクロファージに分化へ関与しているとの仮説と立てた。単球系継代細胞や単球初代培養細胞におけるSTIM1のノックダウンが、M1/M2の構成比率に与える影響について現在検索中である。
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