2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマセクレターぜインヒビターと放射線併用による治療効果の検討
Project/Area Number |
22790742
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
榊原 純 (小西 純) 北海道大学, 大学病院, 助教 (50374278)
|
Keywords | 肺癌 / Notch / 放射線治療 |
Research Abstract |
Notch発現細胞株におけるNotchのinhibitorであるガンマセクレターゼインヒビター(GSI)と放射線治療併用効果の検討を行った。in vtiroにおいてNotch発現肺癌細胞株に対してGSIと放射線併用治療の抗腫瘍効果をMTT assay、クロノジェニックアッセイを用いて検討したところ、放射線照射後にGSIを投与すると単独治療と比較してより有意な抗腫瘍効果を認めた。他の治療スケジュールとして放射線/GSI同時治療、GSI後放射線治療を同様に検討したが、これらのスケジュールにおいては単独治療と比較して有意な併用効果を認めなかった。Western blotにおいて放射線治療後にNotchやNotchの下流シグナルの発現が上昇しその後のGSI投与により亢進したNotchシグナルが抑制されることを認めた。このことから放射線治療後GSI投与において併用効果を認めた機序として放射線抵抗性にNotchが関与しておりGSI投与により放射線抵抗性が改善したためと考えられた。またこの併用効果はNotchの発現のない肺癌細胞株では認められずNotchシグナルに依存的であることが示された。これらのin vitroでの研究結果をふまえた上でNotch発現肺癌細胞株をヌードマウスに接種し放射線治療後にGSI投与を行った。コントロールと比較して単独治療群、併用治療それぞれ腫瘍増大を抑制し、特に併用治療では優位に腫瘍増大のスピードを抑制した。また腫瘍のNotchの発現はin vitroの結果と同様に放射線治療においてNotch発現は上昇し放射線治療後のGSI投与により亢進したNotch発現は抑制されていた。治療マウスにおいては体重減少、明らかな下痢などなく有害な副作用を認めなかった。これらの結果より放射線/GSI併用治療は肺癌における有効な治療の1つとなりうることが示された。
|