2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺損傷における新規生理活性脂質リゾホスファチジン酸の役割解明
Project/Area Number |
22790745
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 充啓 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396483)
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Keywords | 急性肺傷害 / 活性化脂質 / 炎症 / 組織修復 / 細菌性肺炎 |
Research Abstract |
急性肺損傷(ALI)およびその重症型の急性呼吸促迫症候群(ARDS)は、肺における過剰な炎症と肺血管透過性亢進を特徴とする急性呼吸不全を呈する症候群である。ALI/ARDSは依然40%以上の高い死亡率を有し、治療法の更なる進歩が必要とされている。リゾホスファチジン酸(LPA)はリゾリン脂質の一つで、細胞増殖・細胞遊走・サイトカイン産生・血管透過性亢進・組織線維化など多様な作用を持つ新世代の生理活性脂質である。本研究ではLPAに着目し、肺血管透過性の亢進・組織傷害後の線維化などALIの病態におけるLPAの役割を解明することを目的とした。今回、代表研究者はLPAの肺損傷惹起のメカニズムの解明のためにエンドトキシン肺損傷モデルにおいて、LPA産生酵素オータキシン阻害薬による、肺サイトカイン・ケモカインの発現解析を行った。阻害薬投与により、変化したケモカインとしてCXCL-12が明らかになった。以前の研究にて急性肺損傷後期において肺に集積した好中球上CXCR4の発現が上昇しており,CXCL12/CXCR4シグナル経路が好中球集積に関与していることを報告した.そこで今回,CXCR4発現上昇の機序および好中球集積に対する役割をLPS肺損傷モデルにおいて検討した。血管内肺好中球はCXCR4をほとんど発現していない一方,血管外肺好中球では発現が上昇しており,血管外遊走後に発現が上昇すると考えられた.L-selectinのligandであるsulfatideで末梢血中の好中球を刺激するとCXCR4の発現が上昇したことから,L-selectinがCXCR4の発現上昇に関与していると考えられた.さらにex vivo実験により,CXCL12はCXCR4を高発現した肺好中球に対し抗アポトーシス作用を持つことが新たに判明した。CXCL12/CXCR4シグナル経路は,走化作用だけでなく抗アポトーシス効果を介して急性肺損傷における肺好中球集積に関与していることが明らかとなった。LPAはCXCL-12の発現を亢進させ、急性肺損傷における肺好中球集積に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)