2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌細胞の転移浸潤能におけるサイトケラチン8分子の機能解析
Project/Area Number |
22790760
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石井 知也 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (80467836)
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Keywords | サイトケラチン8 / マトリゲルアッセイ / 浸潤能 |
Research Abstract |
サイトケラチンの培養肺癌細胞株の浸潤能に及ぼす影響についての検討を行うために、まず非小細胞肺癌細胞株であるA549およびHI1017に対してマトリゲルアッセイを行った。マトリゲルに18回通して浸潤能を高めたHI1017は、細胞自体が小型化し細胞質も少なくなることを確認し、細胞骨格であるサイトケラチン(CK-8,18)の発現量も減少していた。同様の変化がA549に対しても起こっており、CK-8,18および19の発現量は減少していた。このことは、癌細胞が浸潤するにあたって細胞骨格を形成しているサイトケラチンの発現量を減らすことで、その浸潤能を高めていると推測される。逆に通常CK-19を持たないHI1017に外因性にCK-19を発現させたところ、癌細胞の浸潤能が抑制された。また、RNA干渉を用いてHI1017におけるCK-8ないしCK-18の発現を抑制したところ、いずれのCKも発現量が低下し、浸潤能も干渉前に比べて4倍に高まった。A549についても同様に、CK-8ないしCK-18の発現を抑制したところ、その浸潤能は3倍に高まることが確認できた。以上より、肺癌細胞の浸潤能はサイトケラチンの発現量と密接に関係しており、サイトケラチンの発現量を調節することが非小細胞肺癌の治療に生かせる可能性を見出した。肺癌細胞の浸潤能とサイトケラチン発現量は本研究では逆相関しており、これは、病期の進行した症例で血清シフラなどサイトケラチン関連の腫瘍マーカーが高いことと反対の事象のように思われる。しかし、進行症例では腫瘍量も多く、腫瘍マーカー局値は単に腫瘍量を反映しているだけなのかもしれない。これらの結果は、論文化して英文誌に投稿する予定である。
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