2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症・上皮間葉転換を制御するマイクロRNAの探索とその作用機序の解明
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22790763
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
柳 重久 宮崎大学, 医学部, 助教 (60404422)
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Keywords | 肺線維症 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
特発性肺線維症(IPF)は慢性進行性の肺線維化疾患で、予後不良でその発症機序は不明である。IPFは、上皮傷害とそれに引き続く筋線維芽細胞増殖、細胞外マトリックス(ECM)沈着を特徴とし、正常肺構築の破壊が生じて最終的に呼吸不全に陥る。線維化の開始と進行に、上皮が"火付け役"として中心的役割を成し、なかでも上皮細胞が筋線維芽細胞に形質転換する上皮間葉転換(Epithelial mesenchymal transition : EMT)が、筋線維芽細胞の起源として重要とされる。申請者はこれまでに、細気管支肺胞上皮特異的Pten欠損マウスを用いてブレオマイシン肺線維症モデルを作製し、細気管支肺胞上皮でのPten発現は肺線維症の発症制御に決定的に重要であることを突き止めている。今年度は、Quadruple TGマウスを用いた細気管支肺胞上皮PtenによるEMT制御機構の解析を行った。まず、細気管支肺胞上皮特異的にPtenを欠損かつEGFPを発現するマウスと、EGFP発現のみ生じるマウスを作成した(EGFP-SOPten^<flox/flox>マウス、EGFP-SOPten^<rt/rt>マウス)。それぞれのマウスにブレオマイシン(0.05単位/匹)を気管内投与し、投与前と14日後の肺組織を摘出し、筋線維芽細胞マーカーであるα-SMAとGFPの二重免疫染色を行い、EGFP-SOPten^<flox/flox>マウスとコントロールマウスのα-SMA/GFP二重陽性細胞数を比較した。結果、肺傷害後のEGFP-SOPten^<flox/flox>マウスにて、EMT由来の筋線維芽細胞数がコントロール群と比較して5倍に増加していた。一方、非EMT由来筋線維芽細胞数には両群間に差はなかった。以上のことから、肺上皮でのPten発現はEMTを制御し、肺線維症発症抑制に重要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)