2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患の発症、進展におけるオートファジーの果たす役割の検討
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22790771
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
原 弘道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70398791)
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Keywords | オートファジー / 慢性閉塞性肺疾患 / CKB |
Research Abstract |
我々は、細胞内蛋白分解機構であるオートファジーが、喫煙誘導性細胞老化を制御することにより慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態に関与する可能性を考え、気道上皮細胞、肺組織を用いた検討を行った。オートファジーの抑制、亢進がCSEによる気道上皮細胞老化に及ぼす影響を検討した結果、昨年度は、CSEによる細胞老化にオートファジーが抑制的に働くことを明らかにした。オートファジーは動的な過程であり、その誘導、抑制が細胞内のエネルギー状態に強く影響されることから、細胞内局所におけるエネルギー供給の役割をもつCKBが、オートファジーの制御を行っている可能性を考え、本年度は、CKBとオートファジーとの関連についてさらに検討した。CKBを抑制、亢進させ、オートファジーと細胞老化亢進へ及ぼす影響について気道上皮細胞を用いて検討したが、CKBとオートファジーの明らかな関連性は認められなかった。しかしながら、CKBの抑制により細胞老化が亢進したこと、CSEによりCKBの発現が低下したことから、CSEによる細胞老化克進にCKBの発現低下が関与していると考えられた。CKBとCSE誘導性細胞老化について、さらに検討を行い、その結果、CSEによりCKBはカルボニル化、分解され、発現、活性ともに低下することが、CSEによる気道上皮細胞老化のメカニズムの一つであると考えられた。さらに、健常者、COPD患者由来の肺組織のCKBの免疫組織染色、および、分離した気道上皮細胞のCKB発現を検討したところ、COPD患者由来の肺組織と気道上皮細胞は、非COPD患者由来の気道上皮細胞と比べ、いずれもCKBの発現が低下しており臨床的な重要性が示された。CKBの低下がCOPDの発症、進展に影響を与えている可能性が考えられ、CKBの制御がCOPDの有効な治療の開発につながる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)