2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子HIF-3が進行性腎疾患の低酸素応答調節に果たす役割の解明
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22790781
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 哲洋 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (90508079)
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Keywords | HIF-3 / 進行性腎疾患 |
Research Abstract |
本年度はラット(r)HIF-3α遺伝子をクローニングし、発現ベクターを作製した後、過剰発現系による低酸素応答への影響を調べた。HIF-1活性を検知するHRE-luciferaseベクターを用いた一過性トランスフェクション、およびルシフェラーゼアッセイを行ったところ、rHIF-3α過剰発現はHIF-1の転写応答を減弱させることが明らかとなった。本現象はrHIF-3α転写活性化部位(TAD)欠損体rHIF-3αΔTADにおいても観察され、同様にTADを欠損するmouse IPASやhuman HIF-3α4などのHIF-3α variantにおいて過去に報告されている現象と同一であった。そこで、rHIF-3αのTADに関する洞察を得るため、その機能評価を行った。Gal4融合型HIF-3αTADタンパク発現ベクターを作製し、Gal4応答型レポーターアッセイを行ってその転写活性を調べたところ、HIF-1α/2αTADと比較して非常に限定された転写活性可能であることが明らかとなった。さらにはrHIF-3αTADをVP16 activator domainと交換したrHIF-3a/VP16を発現するコンストラクトを作製し、過剰発現下における低酸素応答を調べたところ、その強力な転写活性可能にもかかわらず、野生型rHIF-3αと同様にHIF-1を介する低酸素応答を抑制することが示された。以上より、rHIF-3αは、(1)HIF-1を介した低酸素応答を減弱させる因子であり、(2)その分子特性は転写活性化領域の機能に依存しないことが明らかとなった。
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