2010 Fiscal Year Annual Research Report
肥満糖尿病性腎症におけるRac1・MRの役割と新規治療薬開発の試み
Project/Area Number |
22790782
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 成孝 東京大学, 医学部・附属病院, 特任助教 (30559430)
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Keywords | 慢性腎疾患 / 高血圧 / 糖尿病 / アルドステロン |
Research Abstract |
1.肥満糖尿病モデル動物における腎障害、特に糸球体障害における『Rac1によるMR活性化』の関与の検討 (1)肥満糖尿病動物モデルKK-Ayマウスの片腎摘により作成した糖尿病性腎症モデルにおいて、早期から持続してRac1の活性化を認めた。 (2)同様に腎臓におけるMR活性化を認め、少量MR阻害薬の投与により血圧を介することなく著明な腎障害の改善を認めたことから、MR活性化の腎障害への関与を証明した。 (3)Rac1阻害薬NSC23766投与により、著明な腎障害改善を認めたが、同時に体重減少・血糖低下を認めた。Rac1阻害薬EHT1864の飲水投与では十分なRac1活性低下効果を認めなかった。Rac1阻害薬に関しては更なる検討を要する。 2.腎由来培養細胞株におけるグルコースによるRacl活性化とその抑制の検討 (1)メサンギウム細胞株においてグルコース負荷による著明なRac1活性上昇を認めた。 (2)上記Rac1が活性化はRac1阻害薬や優性阻害型(Dominant Negative)Rac1の遺伝子導入により著明に阻害された。 3.腎由来培養細胞株におけるグルコースによるMR活性化とRac1阻害によるその抑制の検討 (1)上記メサンギウム細胞株におけるレポータージーンアッセイにより、グルコース負荷によるリガンド非依存的なMR活性化を認めた。 (2)同様に上記細胞株において恒常活性型(Constitutive Active)Rac1の遺伝子導入により、リガンド非依存的なMR活性化を認めた。 (3)上記MR活性化はRac1阻害薬や優性阻害型Rac1の遺伝子導入により著明に阻害された。 4.グルコースによるRac1活性化のメカニズムの検討 (1)過去に他の系におけるRac1活性化の上流として報告されている因子のうち、上記メサンギウム細胞株のグルコース負荷時に活性化しているものとして、AMPK・PKC等を確認した。
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