2010 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエル前腎をモデルとしたNotchシグナルによる腎尿細管形成機構の解析
Project/Area Number |
22790799
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
堅田 智久 杏林大学, 医学部, 助教 (10527229)
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Keywords | 発生 / 分化 / 再生医学 / アフリカツメガエル / Notchシグナル / 腎臓 |
Research Abstract |
平成22年度は、Notchシグナルが前腎前駆細胞の発生運命にどのような役割を担っているのかを明らかにするために研究を行ってきた。これは、前腎前駆細胞から分化するglomus, proximal tubule (tubule), distal tubule (duct)の発生運命がNotchシグナルによってどのように変化するのかを解明するものである。このことは、将来的にiPS細胞などの多分化能を有する細胞を用いて、意図する腎尿細管の細胞を人為的に作出する際に有効となる知見を得るための根幹となる点で意義をもっている。研究結果から、Notchシグナルはこれらの分化過程において、次のような3つの役割をもつことが分かった。1つ目は、Notchシグナルはglomusの誘導に必須であるということ、2つ目は、Notchシグナルは、前腎前駆細胞のproximal sideを確立して、distal sideに伸長する細胞の運動を抑制すること、3つ目は、Notchシグナルはdistal tubuleの分化を抑制することである。これらのことは、distal tubuleの形成に関しては、伸長と分化は相乗的に起こっており、どちらが失われても正常な分化が進行しないことを示している。またこれに付随する研究計画のうちの1つである、distal tubuleの各セグメントに発現する遺伝子のプロファイルを作成することを試みた。その結果、各セグメントに発現する遺伝子群(cldn19, cldn14, rhcg)をピックアップすることができ、Notchシグナルの活性化によって発現が減少する様子を捉えることができた。このことは先述した、distal tubuleにおいては、伸長と分化が相乗的に起こるという知見と一致している。以上のことから、Notchシグナルは前腎前駆細胞の分化において、glomusの分化誘導の他に、distal tubuleの細胞運動と分化の抑制に寄与していることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)