2010 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜障害の診断、治療戦略としてのiPS細胞由来腹膜中皮細胞の分化誘導法の樹立
Project/Area Number |
22790801
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鷲田 直輝 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40468492)
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Keywords | 腹膜中皮細胞再生 / 腹膜透析 / 被嚢性腹膜硬化症 |
Research Abstract |
未分化ヒトES,ヒトiPS細胞をマウスOP9ストローマ細胞上で分化培養液を用いて8-12日間培養した。顕微鏡にて細胞形態が敷石状であることを確認し、多能性中胚葉細胞マーカーといえるFlk1と中皮細胞マーカーであるHBME-1陽性細胞をフローサイトメトリー(FACS)にてソートし、そこで得られた細胞を中皮用培養液で培養した。さらに、動物由来であるマウスOP9ストローマ細胞の混入を避けるため、OP9ストローマ細胞を用いない中皮誘導法の確立も試みた。具体的には、ヒトES細胞をコラーゲンIVコーティングdish上で分化させ、中皮細胞を誘導し10日目にFACSにてFlk1/HBME-1陽性細胞をソートした。 内皮と中皮は同じ中胚葉由来で形態も似ている。腹膜中皮細胞と本研究で分化誘導した細胞の形態は極めて類似していた。この分化誘導した細胞をFACSで解析した。内皮分画のpopulationは5.2%であり、中皮分画の存在が強く示唆された。 ラット腹膜中皮細胞、ヒト培養腹膜中皮細胞を含む様々な細胞種を用いて、DNAアレイにより遺伝子を網羅的に解析した。我々は腹膜中皮細胞特異的に発現している可能性のある遺伝子として3遺伝子(Factor A,Factor B,Factor C)に着目した。この中で特にFactor Bは、フローサイトメトリーに使用可能な抗体があるため、細胞を標識し分取可能であった。しかし、この分取した細胞は、増殖力が弱く、移植ツールとしての十分量を培養することが困難であった。本来中皮細胞は増殖力が強いものであるため、この分化誘導した細胞と腹膜中皮細胞との遺伝子的相違点を十分検討する予定である。さらにFactor AならびにFactor Cに対する抗体を作成または入手し、今後これらの遺伝子をもつ細胞も分取し、検討する予定である。
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