2010 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症における免疫複合体形成機序の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
22790802
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 仁 順天堂大学, 医学部, 助教 (10468572)
|
Keywords | IgA腎症 / 糖鎖異常IgA1 / 免疫複合体 / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
IgA腎症の病態における糖鎖異常IgA1産生と免疫複合体形成機序を解明するために、今年度では、まずIgA腎症患者の末梢血および摘出された扁桃よりB細胞を抽出し、EBウイルスで不死化し、IgA1-およびIgG産生細胞株を樹立することに成功した(n=5ずつ)。引き続き、CpGを用いたTLR9の発現増強やIL-6などのサイトカインでの刺激によるIgA1の糖鎖構造・糖鎖修飾酵素の活性化やIgG産生細胞株での糖鎖異常IgA1特異的IgGの産生が亢進するかを検証しているところである。 本症の診断および活動性を評価する非侵襲的な方法を生み出すために、血中糖鎖異常IgA1・糖鎖異常IgA1特異的IgG抗体価およびIgA抗体価、IgG-IgA免疫複合体、および尿中糖鎖異常IgA1などのバイオマーカーの測定系を樹立した。これらを用いて、IgA腎症患者、IgA腎症以外の腎症患者、健常人の血清および尿サンプルを収集し、上述したバイオマーカーを測定している。IgA腎症は、多因子疾患であり、その成因と病態が複雑であるがために、ひとつのバイオマーカーよりも複数のバイオマーカーを組み合わせることで、診断・疾患活動性の評価に有用であることが基礎データとして示された。 本症における扁桃B細胞の役割を解明するため、扁摘後の血中バイオマーカーの推移と治療反応性との関連を解析した。IgA腎症に対して扁桃摘出(扁摘)治療を行い、治療経過をフォローできた患者(15症例)の血液サンプル(扁摘前後、治療1年後)を用いて、バイオマーカー(血中糖鎖異常IgA1、糖鎖異常IgA1特異的IgGおよびIgA1-IgG免疫複合体)を測定し、扁摘が有効であった症例では、各バイオマーカーが優位に低下しており、扁桃B細胞がIgA腎症の病態に深く関与していることが示された。来年度は、さらに長期的な経過を解析する予定である。
|
Research Products
(4 results)