2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラット腎不全モデルにおけるチロシンキナーゼ阻害薬の腎不全抑制効果
Project/Area Number |
22790805
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊與田 雅之 昭和大学, 医学部, 助教 (20384365)
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Keywords | チロシンキナーゼ阻害薬 / 慢性腎不全 / 腎線維化 |
Research Abstract |
我々はクリオグロブリン関連膜性増殖性糸球体腎炎や抗GBM抗体腎炎におけるイマチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬)の治療効果を報告してきた。今回、イマチニブと比較してAblに約30倍、PDGFRに同等の阻害活性を持つニロチニブの腎不全進行抑制効果を検討した。59匹の5/6腎摘ラットを治療群と未治療群に無作為に振り分けた。対照群として12匹のsham ope群を作成した。ニロチニブは60mg/kg、コントロール群は同量の蒸留水を術後2週後から連日8週間経口投与した。また腎線維芽細胞、メサンギウム細胞を用いてニロチニブによる線維化抑制のメカニズムを検討した。ニロチニブ投与群において有意に 1)蛋白尿の低下 2)血清Cr値の低下 3)糸球体硬化、尿細管障害の軽減 4)腎皮質における線維化マーカーmRNA発現低下 6)生存率の改善を認めた。腎線維芽細胞、メサンギウム細胞を用いた培養実験では、ニロチニブ前処置により、PDGF-BBによるPDGFRβリン酸化抑制がみられた。ニロチニブは血圧非依存性に腎不全進行を抑制した。主に癌領域で広く臨床で使用されているニロチニブは、新規の腎不全治療薬と成り得る可能性を秘めている。
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