2010 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病原因遺伝DJー1による酸化ストレスの防御機構
Project/Area Number |
22790809
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仁木 剛史 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90377193)
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Keywords | 酸化ストレス / 活性酸素 / DJ-1 / パーキンソン病 |
Research Abstract |
パーキンソン病は、酸化ストレスが誘導する神経細胞死により発症する。DJ-1は癌遺伝子として同定し、後に家族性パーキンソン病の原因遺伝子でもある事が報告された。さらにDJ-1は、酸化ストレス・解毒関連遺伝子の主な転写因子Nrf2を活性化することが報告された。酸化ストレス存在下ではDJ-1はNrf2を安定化して、酸化ストレス応答遺伝子群の転写を活性化する。またDJ-1は、酸化ストレスによる細胞死に対する抗アポトーシス経路として知られるPI3K/Akt経路をPTENの阻害をすることで活性化すると考えられている。我々はDJ-1をターゲットとした創薬を目的とするスクリーニングにより、DJ-1結合化合物(compound B)を同定している。この化合物により、酸化ストレス誘導細胞死を抑制されることを明らかにしているが、その詳細な作用メカニズムは解明されていない。そこでDJ-1結合化合物による酸化ストレス抑制メカニズムを解析するために、酸化ストレス応答配列をルシフェラーゼ遺伝子に連結したレポーター遺伝子を用いて、Nrf2の転写活性化能を検討した。その結果、DJ-1結合化合物単独では、Nrf2の転写活性化能に変化がなかった。それに対して、過酸化水素単独による酸化ストレス誘導時よりも、過酸化水素とDJ-1結合化合物を同時に処理することで、Nrf2の転写活性化作用がさらに増強された。また、RT-PCRによりHO-1やNQO1などの酸化ストレス応答遺伝子の発現が増加していることが示された。これより、DJ-1結合化合物による酸化ストレスの抑制はNrf2転写能の増強によることが示唆された。また、compound B処理によりリン酸化Aktの増加が認められた。さらにcompound Bの誘導体を作製して、これらの活性を検討した。またDJ-1によるTH遺伝子の転写制御の研究を行った。
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