2011 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症の病像・予後に関連する遺伝子的背景の探索・同定
Project/Area Number |
22790817
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熱田 直樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90547457)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 遺伝子多型 / 前向き臨床像 / 関連解析 |
Research Abstract |
代表的な難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療法開発には病態関連分子・遺伝子の同定が必要である。家族性ALSを引き起こす遺伝子異常は近年数多く報告されつつあるが、大部分を占める孤発性ALSの関連分子・遺伝子は明確になっていない。本研究の目的は、ALS患者コホートによる大規模前向き臨床情報と遺伝子多型の解析を行い、ALSの進行・予後と関連する遺伝子多型の探索、同定を行うことである。高率に前向き臨床情報把握を行うために、電話調査でALS患者の状態を評価できるシステムを構築し、その信頼性を検証した。得られたALS患者380例の大規模前向き情報と、理化学研究所ゲノム医化学研究センターにおいて実施された一塩基多型(SNPs)タイピング結果を用いて、ALSの進行様式と関連候補遺伝子多型との関連を検討した。その結果、発症から死亡または気管切開を用いての人工呼吸器導入に至るまでの期間に影響を及ぼすSNP(p=0.01, Log Rank test)を2つ見出した。発症から球麻痺症状出現または上肢機能廃絶までの期間についても検討したところ、最も有意なSNPはp=2.1×10^8(Log Rank test)の有意差で発症から発語不能になるまでの期間に影響していた。 本研究ではALS患者の生存期間、球麻痺症状の出現までの期間に強い影響を与える遺伝子多型を見出した。この遺伝子多型が真に病態に深く関わる分子であるかどうかはセカンドコホートなどを用いた確認が必要であるが、ALSの進行・予後に影響する分子の同定につながる可能性がある。
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Research Products
(3 results)