2010 Fiscal Year Annual Research Report
後期糖化反応生成物が血液神経関門に及ぼす影響の解析
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22790821
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清水 文崇 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90535254)
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Keywords | 糖尿病性末梢神経障害 / 血液神経関門 / 糖尿病性細小血管障害 / ペリサイト / 末梢神経神経内膜内血管内皮細胞 |
Research Abstract |
糖尿病性末梢神経障害の成因として糖尿病性細小血管症による微小血管障害が一因であると考えられている.神経内膜内微小血管は血液神経関門(blood-nerve barrier : BNB)の局在する部位であり,糖尿病性末梢神経障害患者の腓腹神経病理像では,BNBを構成する神経内膜内微小血管の基底膜肥厚,ならび血管内皮の過形成,ペリサイトの変性を認めBNBが破綻することが知られている.一方,糖尿病性末梢神経障害では後期糖化反応生成物(advanced glycation endproduct : AGE)が末梢神経のシュワン細胞や軸索,およびBNB構成細胞である末梢神経神経内膜内微小血管内皮細胞(peripheral nerve microvascular endothelial cell : PnMECs),ペリサイト,基底膜に蓄積することが知られている.しかし,AGEがどのような分子メカニズムでBNBを破綻させるかは今までに明らかにされていない.我々は糖尿病性末梢神経障害におけるBNB破綻の分子メカニズムを解明するために,ヒト坐骨神経よりPnMECsおよびペリサイトの不死化細胞株を樹立し,ヒトBNB in vitroモデルを作製した.これらの細胞を用いて正常状態でBNBの基底膜関連分子であるCollagen type IVとFibronectinがPnMECsとペリサイトのどちらから主に産生されるかをWestern blot法で検討したところ,主にペリサイトから産生されていることが明らかとなった.次に,これらの細胞にAGEを作用させたところペリサイトから産生されるCollagen type IVやFibronectinが増加し,PnMECsのtight junction関連蛋白であるclaudin-5の発現が低下することが確認された,実際の糖尿病性末梢神経障害の病理所見で認められるBNBでの基底膜の肥厚やバリアの破綻をBNB in vitro modelで再現した.このBNB in vitroモデルを用いることで,糖尿病性末梢神経障害におけるBNB破綻メカニズムを分子レベルで解明することが可能である.
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Research Products
(6 results)