2010 Fiscal Year Annual Research Report
異性体セリン混入異常タンパク質に注目した筋萎縮性側索硬化症の新規治療標的の開発
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22790828
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹部 潤平 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10398612)
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Keywords | D-セリン / 筋萎縮性側索硬化症 / D-tyr-tRNA deacylase |
Research Abstract |
本研究では、D-tyr-tRNA deacylase(DTD)に着目して、D-アミノ酸のタンパク質合成への混入による細胞ストレスを評価した。In vitroの系でsiRNAを用いてDTDをノックダウンしたところ、UPRE/ERSE/AAREのいずれのルシフェラーゼレポーターアッセイにおいてもunfolded protein response(UPR)が上昇することが明らかとなった。さらに、同条件下でD-セリンを負荷したところ、UPRは明らかには増強しなかった。一方で、DTDおよびdeacylaseを失わせたT81A-DTDを細胞に遺伝子導入したところ、DTD単独でUPRは軽減されるものの、T81A-DTDの発現でも同様にUPRが軽減した。これらのことから、DTDはdeacylase活性とは無関係に、UPRに影響を与えている可能性が示唆され、当初の予想に反して、D-アミノ酸のタンパク合成への混入のストレスは、UPRには関与しないことが考えられた。そこで、UPR以外にUbiquitin化およびオートファジーで細胞ストレスを検出した。siRNAによるDTD非存在下にD-セリンを付加したところ、オートファジーには明らかに影響を与えなかったが、Ubiquitin化は増強したため、D-セリン混入異常タンパク質はUbiquitin化処理を受けることが考えられた。 さらに、DTDの高発現によってD-セリン負荷によるUbiquitin化は改善されたため、このようなストレス応答メカニズムを標的とした筋萎縮性側索硬化症の病態改善効果の検討へと研究を発展させることが重要であると考えられた。
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Research Products
(4 results)