2011 Fiscal Year Annual Research Report
異性体セリン混入異常タンパク質に注目した筋萎縮性側索硬化症の新規治療標的の開発
Project/Area Number |
22790828
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹部 潤平 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10398612)
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Keywords | D-セリン / 筋萎縮性側索硬化症 / D-Tyr-tRNA deacylase |
Research Abstract |
本研究では、D-tyr-tRNA deacylase(DTD)に着目して、D-アミノ酸のタンパク質合成への混入による細胞ストレスを評価した。昨年度の研究から、In vitroの系でsiRNAを用いてDTDをノックダウンしたところ、UPRE/ERSE/AAREのいずれのルシフェラーゼレポーターアッセイにおいてもunfolded protein response(UPR)が上昇することが明らかとなり、DTDの高発現ではUPRが軽減されることが明らかとなった。本年度、ルシフェラーゼレポーターアッセイの実験結果をreal-time PCRで裏付けるため、DTDをノックダウンさせたところ、UPR関連分子のみならずinternal controlとして検討したGAPDHにおいてもmRNA発現が減少することが明らかとなり、UPR関連分子の発現/GAPDHの値はルシフェラーゼアッセイの結果と一致した。これはDTDによって、タンパク質全体の転写や翻訳に大きく変化をもたらした可能性が高く、UPR関連分子のルシフェラーゼアッセイでの変化は相対的な変動であったことが判明した。さらに、D-アミノ酸負荷をかけた状態でのin vivoでの細胞ストレスを明らかにするため、D-アミノ酸分解酵素であるD-アミノ酸オキシダーゼをノックアウトしたマウスにおける細胞ストレス関連マーカーをreal-time PCRおよびWBで検討した。このマウスでは中枢神経系におけるD-セリン、D-アラニンの濃度が野生型の10倍以上に上昇するものの、UPR関連ストレス関連分子のmRNAレベルでの変動は認められなかった。一方で、WBではタンパクのユビキチン化が亢進していることが明らかとなった。これらのことから、D-アミノ酸に対する細胞負荷は、転写または翻訳レベルで細胞に影響を与え、小胞体ストレスとは密接な関与が認められないことが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)