2010 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1関連脊髄症(HAM)における新規病原性T細胞の発生機構に関する研究
Project/Area Number |
22790833
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
新谷 奈津美 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80440353)
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Keywords | HAM / HTLV-1 / Tax / IFN-γ |
Research Abstract |
本研究では、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)によって引き起こされるHTLV-1関連脊髄症(HAM)において、我々が新規に同定した炎症性サイトカインIFN-γを異常産生しHAM免疫病態を引き起こす原因細胞と想定されるHAM病原性T細胞(IFN-γ^+CD4^+CD25^+CCR4^+T細胞)のHTLV-1依存的な発生機構を明らかにし、HAM病態の理解に貢献することを目的とした。まず、健常者、HAM、ATLのCD4+CD25+CCR4+T細胞における発現遺伝子の網羅的な比較解析からHAM特異的転写因子としてT-betを同定した。T-betは、IFN-γの遺伝子発現を直接活性化する転写因子である。薬剤依存的HTLV-1 Tax発現細胞株JPX-9細胞を用いた検討から、Taxの発現に伴ったT-bet発現誘導を観察した。また、健常者に比較してHAM患者CD4^+CD25^+CCR4^+T細胞におけるT-betの発現上昇が観察され、その発現はTax siRNAを用いたTax発現阻害により抑制された。よって、HAM患者由来CD4^+CD25^+CCR4^+T細胞ではTax依存的にT-betの発現が誘導されていることが明らかとなった。次に、T-betの遺伝子発現におけるTaxの作用機構の解析を行い、TaxはSp1と相互作用し、T-betのプロモーターにおいてSp1を介して転写コアクチベーターとして作用し、T-betの転写を活性化することを示唆する結果を得た。また、健常者CD4^+CD25^+CCR4^+T細胞へのTax発現がそのTreg活性を抑制することから、HTLV-1感染細胞におけるTaxの発現は正常CD4+CD25+CCR4+T細胞からTreg活性を消失したIFN-γ^+CD4^+CD25^+CCR4^+T細胞へと可塑的な変化をもたらし、生体におけるHAMの病因細胞を誘導すると予想する。
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Research Products
(16 results)