2010 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子放射断層撮影法によるレヴィ小体型認知症の客観的鑑別診断法の開発
Project/Area Number |
22790836
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
島田 斉 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (10422239)
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Keywords | PET / 認知症 / レヴィ小体型認知症 / 鑑別診断 |
Research Abstract |
高齢化社会の進行による認知症性疾患の患者数増加は医療・介護の両面において深刻な問題となっている。レヴィ小体型認知症(DLB)はアルツハイマー病(AD)に次いで多い変性性認知症であり、ADやパーキンソン病(PD)とならんで、医学的にも社会的にも最も重要な疾患の一つである。適切な治療やケアを行う上で、DLBとADの鑑別を厳密に行うことが重要であるが、DLBの診断基準は特異度は95%以上と高いものの、感度は32%と極めて低い。これまで我々は、アセチルコリンの類似体に^<11>Cを標識した([^<11>C]MP4A・[^<11>C]MP4P)を開発して、陽電子放射断層撮影法(PET)による脳内アセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性測定法を確立し、本法のADやPDなどの疾患の病態評価における有用性を示してきた。我々はDLBにおいては、広範で重度な脳内コリン神経系の障害を認めること、さらに脳内コリン神経系の障害の程度は従来報告されているADにおける障害よりも重度であること、を報告した。しかし、PETによる脳内コリン神経系の機能評価が、両疾患の鑑別にどの程度有用であるかについては明らかではない。本研究の目的は、ADとDLBにおける脳内コリン神経系の障害の程度および広がりの差異を把握し、PETを用いた脳内コリン神経系の機能評価による両者の鑑別診断法を開発することである。 我々は平成22年度に、DLB、AD、健常高齢者を対象に、PET及びMRI検査、臨床神経学的評価、認知機能評価を行い、PETの動態解析などを行った。PET検査の結果は、我々の過去の報告通り、DLBにおいてはADと比較して、重度で広範な脳内コリン神経系の障害を認めた。次年度は更に検査症例数を増やし、両者の鑑別診断における有用性を検討する予定である。
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