2011 Fiscal Year Annual Research Report
新技術SPR&FCSを用いたオリゴマー阻害薬効率的選択によるポリグルタミン病治療
Project/Area Number |
22790837
|
Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
ポピエル ヘレナ・明子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第四部, 科研費研究員 (40467593)
|
Keywords | 脳神経疾患 / 蛋白質 / 薬剤スクリーニング / バイオテクノロジー / オリゴマー |
Research Abstract |
近年、アルツハイマー病やポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、治療薬候補として原因蛋白質の凝集を阻害する化合物のスクリーニングが盛んに行われて来た。しかし同定された化合物には標的蛋白質に非特異的に結合する擬陽性が多く含まれることが問題であった。さらに最近これらの疾患原因蛋白質は凝集体を形成する前のオリゴマーの段階で毒性を発揮すると考えられるようになり、凝集体形成そのものではなくオリゴマー形成を抑制する治療薬候補化合物を選択する必要性が示された。本研究では、我々が樹立した1)PolyQ病の原因蛋白質に対する結合特異性を計測する方法(SPR)、さらに2)細胞内の毒性オリゴマーを計測する方法(Fcs)を応用し、PolyQ病の原因蛋白質に特異的に結合するオリゴマー阻害化合物をスクリーニングし、PolyQ病の治療薬開発を目指す。 本年度はまずSPRやFCSを用いて、異常伸長PolyQ蛋白質に特異的に結合し細胞内毒性PolyQオリゴマーを阻害する化合物のスクリーニングを行い、約10種類の化合物を同定した。さらにこれらの化合物について、COS-7細胞の培養液に添加し、化合物自身の細胞毒性を評価した結果、約5種類の化合物に薬剤候補を絞ることに成功した。そして薬剤候補QSI-1に関しては、PolyQ病モデルマウスに経口投与し、運動障害に対する効果を検討し、ロータロッド試験およびバランスビーム試験における障害がQSI-1より抑制されることを確認した。さらに別のPolyQ病モデルマウスにも経口投与し、運動量と立ち上がり回数の障害に対する治療効果を確認した。
|