2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790842
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 賢 東北大学, 国際高等研究機構, 助教 (70451614)
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Keywords | 小胞体ストレス / 糖尿病 / 膵β細胞 |
Research Abstract |
2型糖尿病患者における膵β細胞量の減少の原因として、小胞体ストレスや酸化ストレスによる細胞死が注目されている。本研究目的は、これらの機序を明ちかにし、膵β細胞を保護とした治療の実現に向けた研究を行うことである。 ・DPPIV阻害剤の膵β細胞保護作用 Wfs1遺伝子欠損マウスは、小胞体ストレスによる膵β細胞脱落が起こり、糖尿病を呈する。GLP-1に代表されるインクレチンの関連薬は、インスリン分泌を促進する薬として臨床応用されている。GLP-1は膵β細胞保護効果を有することが指摘されているが、未だ解明されていない。Wfs1遺伝子欠損マウスに、インクレチン関連薬であるDPP-4阻害薬・vildagliptinを1日2回、4週間連日投与し,膵β細胞に対する保護効果を検証した。vildagliptin投与群では、非投与群と比較し、膵インスリン含有量が32%増加し、インスリン含有量の進行性の低下が軽減された。さらに、小胞体ストレス過剰負荷の特徴である膵β細胞の小胞体膨化が、vildagliptin投与によって軽減されていることが、電子顕微鏡によって観察された。 本研究は、2型糖尿病の病態を反映したWfs1遺伝子欠損マウスを用いて、DPP-4阻害薬の膵β細胞保護効果を示した。本研究結果は、インクレチン関連薬を膵β細胞保護目的に早期から用いるという、新たな治療戦略を発展させ得る根拠を示したと考えられる。 ・膵β細胞特性からみた小胞体ストレス機構の解明 膵β細胞での小胞体ストレス応答の解析のため、小胞体ストレス応答と酸化ストレス応答の特徴を、膵β細胞株であるMIN6細胞を用いて検討した。今年度、これらのストレス間で、4E-BP1の発現及び活性化制御に違いが認められたが、その過程にJNKという蛋白の活性の違いが関与することを発見し、セカンドオーサーとして今年度、英文雑誌に報告した。
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