2011 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部RAS系の破綻が中枢ミトコンドリア障害を介したエネルギー代謝に及ぼす影響
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22790852
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
和田 努 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (00419334)
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Keywords | アルドステロン / 炎症性サイトカイン / 糖尿病 / ROS / ミトコンドリア |
Research Abstract |
糖尿病や肥満状態では視床下部におけるエネルギー代謝調節機能が損なわれる。Angiotensin2(AT2)は末梢の各組織においてROS産生を亢進し、インスリン抵抗性の誘導にも関わる。ミトコンドリアはATPを産生する過程でROS産生するが、同時にROSを消去する抗酸化機能も併せ持つ。視床下部におけるエネルギー代謝調節は一部ROSを介することが知られているため、本研究では肥満や糖尿病において視床下部1RAAS系の関与とRAAS系抑制による代謝改善効果につき、特に視床下部ミトコンドリアとROS制御に着目して検討を進めてきた。 (1)硬質コルチコイド受容体阻害剤(MRA)によるインスリン抵抗性改善メカニズム 肝特異的SREBPlc過剰発現マウスに高果糖高脂肪食負荷を行い作製した肥満・インスリン抵抗性、脂肪性肝炎モデルマウスにMRAを全身投与することで、肝臓での炎症、線維化および糖脂質代謝が改善した。以上アルドステロンはAT2と独立し炎症を促進することを明らかにした。 (2)糖尿病モデルマウスにおける中枢の炎症状態 db/dbマウスと高脂肪負荷(HFD)マウスはカロリー摂取量の増加、VO2の減少、耐糖能障害を示し、視床下部における炎症性サイトカインの発現亢進を認めた。しかしMRAの全身投与は視床下部の炎症性サイトカイン発現を抑制しなかった。閉経肥満モデルマウス(OVX+HFD)においても同様の代謝異常を認めたが、本マウスにエストロゲンを投与し肥満を改善した場合は、糖代謝は改善し炎症性サイトカイン発現も低下した。 (3)単球系細胞の炎症性サイトカイン、ROS産生に及ぼすRA系阻害剤の影響 脳での炎症性サイトカイン発現に及ぼす影響を、マイクログリア細胞のモデルとして培養マクロファージおよびマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)にて検討した。ARBの前処置はLPS処置による炎症性サイトカイン発現に影響しなかったが、MRAはこれを強く抑制した。
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Research Products
(5 results)