2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織マクロファージとインスリン感受性の関与についての研究
Project/Area Number |
22790853
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤坂 志帆 富山大学, 大学病院, 医員 (30512082)
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Keywords | 肥満 / 脂肪組織 / インスリン抵抗性 / マクロファージ |
Research Abstract |
肥満に伴うインスリン抵抗性の発症には脂肪組織に浸潤するマクロファージが深く関与する。このマクロファージには、インスリン抵抗性を誘導する炎症性のM1マクロファージと、抗炎症性のM2マクロファージの少なくとも2種類が存在する。前者は糖代謝にとって悪玉、後者は善玉と認識されている。本研究の目的は、この脂肪組織M1/M2マクロファージについて、これまでに知られていない制御機構を明らかにすることである。 昨年度から継続して行った検討で我々は、PPARg活性化作用を有するアンギオテンシンII受容体拮抗薬、テルミサルタンが脂肪組織のM1/M2マクロファージの極性を変えることによりインスリン抵抗性を改善することを見出し報告した(Endocrinology152:17891799,2011)。 さらに我々は、肥満によって内臓脂肪組織は低酸素状態となっており、そこに爆発的に増加するM1マクロファージは低酸素プローブの取り込みが強く、低酸素で最も強く誘導される転写因子(Hypoxia inducinble factor)HIF1α下流遺伝子の発現がM2マクロファージより亢進していることを確認した。さらに、フローサイトメトリーを用いた検討で、低酸素プローブの取り込みの強い脂肪組織マクロファージは、TNF-aやIL-6、IL-bなど炎症性サイトカインをより多く発現しており、さらにマウス骨髄由来マクロファージや脂肪組織のStromal vascular fractionを低酸素環境(1%O2)で培養すると、CD11c、IL-6、.IL-bなどのM1マクロファージのマーカー遺伝子発現が上昇することを確認した。肥満内臓脂肪組織の低酸素状態が、より炎症性のM1マクロファージ誘導に関与すると結論し、現在論文投稿準備中である。「低酸素」という新たな脂肪組織M1マクロファージの分化誘導因子が明らかとなることが期待される。
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