2011 Fiscal Year Annual Research Report
単純性糖質摂取による耐糖能異常の発症機序の解明とインクレチンの役割
Project/Area Number |
22790855
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清野 祐介 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (80534833)
|
Keywords | インクレチン / フルクトース / グルコース |
Research Abstract |
平成23年度は、高ショ糖食による耐糖能障害をインクレチン関連薬が改善するかを中心に研究を進めた。 1、C57BL6マウスに5週間の38.5%高スターチ食を与えた群(CS群)を含めた3群間で耐糖能に及ぼす影響について比較した。CS群ではHSD群で認められた糖負荷試験時のGLP-1分泌低下や肝臓でのグルコキナーゼ発現低下ならびに耐糖能障害は認められなかった。このことは、ブドウ糖ではなく、果糖の慢性投与がGLP-1分泌低下や肝臓でのグルコキナーゼ発現低下に関与していることを示している。 2、GLP-1アナログ製剤であるEx-4を前投与し糖負荷試験時にHSD群で見られた耐糖能障害ならびに肝臓でのグルコーゲンの貯蓄障害が改善されるかどうかを検討した。Ex-4前投与により糖負荷試験時のインスリン過剰分泌により耐糖能は改善したが、肝臓のグリコーゲン貯蓄障害は改善されなかった。 3、C57BL6マウスに通常食群を15週間与えた群(CD群)、ならびに38.5%高ショ糖食を与えた群(HSD群)ならびに15週間の高ショ糖食に加えて後半の10週間DPP-4阻害剤を飲水させた(HSD+DPP群)の3群で耐糖能を評価した。短期のみならず長期のHSD群でも糖負荷試験時のGLP-1分泌低下ならびに耐糖能障害が見られた。一方HSD+DPP群では、HSD群で見られた耐糖能障害は改善したが、GLP-1分泌低下は改善しなかった。DPP-4阻害薬によるインスリン分泌の亢進が耐糖能の改善に寄与すると考えられた。 これらの結果からGLP-1アナログ製剤やDPP-4阻害薬は、高ショ糖食による耐糖能障害の発症機序とは異なった機序を改善することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表、論文発表を無事施行することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
単離膵島実験によるインスリンアッセイが施行できない状態となっており現在別のアッセイ系を試行している。 また、高脂肪食負荷後の経口糖負荷試験やインスリン抵抗性状態でのGLP-1分泌低下が近年報告されており、今後フルクトースにおける腸管でのインスリンシグナルに関しても詳細な検討を施行する予定。
|