2010 Fiscal Year Annual Research Report
スルホニル尿素薬の新たな標的としてのEpac2の機能とその役割
Project/Area Number |
22790860
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 晴美 神戸大学, 医学研究科, 学術推進研究員 (50546489)
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Keywords | スルホニル尿素薬 / インクレチン / Epac2 / cAMP / インスリン分泌 / 糖尿病 |
Research Abstract |
Epac2はcAMPが結合することにより立体構造が変化し、下流因子のRap1を非活性型のGDP型から活性型のGTP型に変換する。スルホニル尿素(SU)薬またはcAMPアナログおよびβ細胞内のcAMPを上昇させるGLP-1で刺激された膵β細胞内のGTP型Rap1の量を調べることにより、Epac2の機能変化を検討した。膵β細胞株において、GLP-1またはEpacを選択的に活性化させるcAMPアナログである8-pCPT-2'-O-Me-cAMP(8-CPT)の刺激によりGTP型Rap1が増加した。また、SU薬であるグリベンクラミド(GLB)、グリメピリド(GLM)の刺激によりGTP型Rap1が増加した。さらに、GLBと8-CPTの同時刺激により、それぞれ単独での刺激よりもGTP型Rap1が増加した。GLMとGLP-1または8-CPTの同時刺激でも同様にGTP型Rap1のさらなる増加がみられた。これらの結果から、SU薬とcAMPシグナルの組み合わせによりEpac2シグナルが増強されることが示された。 次に、野生型マウスから単離した膵島を用いて、SU薬、GLP-1および8-CPTによるインスリン分泌を検討した。8.8mMグルコースにおいて、GLB、GLP-1および8-CPTの刺激によりインスリン分泌は増強したが、GLBとGLP-1または8-CPTの同時刺激により、インスリン分泌はさらに増加した。GLMとGLP-1または8-CPTの同時刺激でも同様な増強が見られた。また、4.4mMの比較的低濃度のグルコースにおいても、SU薬とGLP-1または8-CPTの組み合わせでインスリン分泌の増強が見られた。 以上の結果から、SU薬とcAMPシグナルを組み合わせることによってインスリン分泌が増強され、その作用にはEpac2シグナルが関与することが示唆された。
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[Journal Article] Rim2α determines docking and priming states in insulin granule exocytosis.2010
Author(s)
Yasuda T, Shibasaki T, Minami K, Takahashi H, Mizoguchi A, Uriu Y, Numata T, Mori Y, Miyazaki J-I, Miki T, Seino S
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Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 12
Pages: 117-129
DOI
Peer Reviewed
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