2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790875
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
岡本 士毅 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (40342919)
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Keywords | 脳・神経 / ウィルス / メタボリックシンドローム / AMPキナーゼ |
Research Abstract |
視床下部は、動物個体のエネルギー代謝を自律的に調節しており、視床下部AMPキナーゼ(AMPK)が、レプチンやグルコースなどのシグナル分子として摂食行動を調節することが明らかとなった。これまでに活性型AMPKをコードするレンチウィルスベクターを視床下部室傍核(PVN)に発現させ、二種類の食餌を自由に選択摂食させると、対照マウスは高脂肪食を摂食するが、活性型AMPK発現群は高蔗糖食を多く摂食した。そしてこの嗜好性変化はPVNにおける脂肪酸酸化亢進に起因する事を明らかにした。同様の嗜好性変化は、絶食後の再摂食時にも生じ、その調節にはメラノコルチン受容体-AMPK調節機構が関与し、低栄養からの回復時など生理的に必須の摂食調節機構と考えられる。本年度の研究では、嗜好性変化に寄与する主要神経細胞を同定出来た。PVNには様々な神経ペプチドが存在するが、各種神経ペプチドのPVN微量投与により高蔗糖食の摂食量が亢進したのは、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)のみだった。更にCRH受容体アンタゴニストやCRHに対するshRNAをPVHに発現させる事によって絶食後の再摂食時に観られる炭水化物嗜好性が遮断される事からも生理学的にPVHにおけるCRHニューロンが嗜好性決定細胞であると考えられた。CRHは一般にストレス応答ホルモンとして考えられているが、嗜好性制御機構とストレス反応との関連を神経細胞レベルで繋ぐ重要な結果である。これらの結果は現在論文投稿中である。
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