2010 Fiscal Year Annual Research Report
ピオグリタゾンの抗動脈硬化作用のin vivoにおける分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
22790878
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
井上 真理子 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 臨床栄養プログラム, 研究員 (80511477)
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Keywords | アディポネクチン / 動脈硬化 / チアゾリジン誘導体 |
Research Abstract |
糖尿病治療薬として臨床応用されているチアゾリジン誘導体は、インスリン抵抗性改善作用に加えて、抗動脈硬化作用を有することが複数の大規模臨床試験で報告されている。チアゾリジン誘導体は脂肪細胞のPPARγを活性化し、抗糖尿病作用・抗動脈硬化作用を有するアディポネクチンの分泌を亢進させ、これがチアゾリジン誘導体で認められるインスリン抵抗性改善作用や抗動脈硬化作用のメカニズムの一つであると考えられている。しかしチアゾリジン誘導体の抗動脈硬化作用にはこれ以外に、動脈硬化症のリスクファクター軽減作用や、抗炎症作用、コレステロール逆転送促進作用など、アディポネクチン増加作用を介さないメカニズムも想定される。そこで、アディポネクチン欠損マウスを用いて検討を行った。ピオグリタゾン非投与下では、アディポネクチン欠損マウスは野生型マウスに比し、有意なカブ傷害誘導性の内膜肥厚を認めた。低用量のピオグリタゾンを3週間投与すると、野生型マウスで、血中アディポネクチンは約3倍に上昇し、8週間投与でも同等の血中濃度が維持された。このとき、野生型マウスでは3週間のピオグリタゾン投与によってカフ傷害誘導性の内膜肥厚が有意に抑制されたが、アディポネクチン欠損マウスではその抑制は有意に減弱していた。しかし、興味深いことに、ピオグリタゾンを8週間投与するとアディポネクチン欠損マウスでも内膜肥厚の抑制が認められた。このことから、3週間投与ではアディポネクチン依存性の作用である一方、8週間投与ではアディポネクチン非依存性の作用もあると考えられた。今後、このようなピオグリタゾンの抗動脈硬化作用のin vivoにおける分子メカニズムを明らかにすることによって、新規の動脈硬化抑制薬の開発につなげたいと考えている。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Impaired insulin signaling in the endothelial cells reduces insulin-induced glucose uptake by the skeletal muscle2011
Author(s)
Kubota T, Kubota N, Kumagai H, Yamaguchi S, Kozono H, Takahashi T, Inoue M, Itoh S, Takamoto I, Sasako T, Kumagai K, Kawai T, Hashimoto S, Kobayashi T, Sato M, Tokuyama K, Nishimura S, Tsunoda M, Ide T, Murakami K, Yamazaki T, Ezaki O, Kawamura K, Masuda H, Moroi M, Sugi K, Oike Y, Shimokawa H, Yanagihara N, Tsutsui M, Terauchi Y, Tobe K, Nagai R, Kamata K, Inoue K, Kodama T, Ueki K, Kadowaki T
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Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 13巻
Pages: 294-307
Peer Reviewed
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