2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞特異的mRNA制御機構の解明とインスリン感受性調節における役割
Project/Area Number |
22790879
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Research Institution | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
Principal Investigator |
杉本 昌隆 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 老化細胞プロジェクトチーム, プロジェクトリーダー (50426491)
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Keywords | RNA結合タンパク質 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
3T3-L1細胞株を用いて内在性Hzf-HuR複合体の動態を免疫沈降により解析したところ、この複合体形成は分化刺激後二日目でピークを迎え、徐々に低下する傾向にあることが確認された。複合体量は分化刺激によるHzf発現誘導パターンと一致することから、単純にHzfの発現量に依存する可能性が高い。 前年度までに、これらタンパク質の脂肪分化における役割について解析を行っていたところ、HuRの発現阻害は非株化細胞においてのみ脂肪分化を抑制することを見出した。マウスの細胞は株化(不死化)の過程において癌抑制タンパク質ARFもしくはp53のどちらかが失活することが知られている。そこでHuR発現阻害による脂肪分化異常がARF-p53経路に依存するのかについて解析したところ、ARFノックアウト(KO)マウスの細胞では野生型細胞で見られるような脂肪分化への影響は観察されなかった。また本実験過程において、HuRの発現阻害により野性型マウス細胞ではHuRの発現阻害により、細胞老化が早期に誘導されることがわかった。マウスの細胞老化は、ARFタンパク質の発現により誘導されることが明らかになっており、同様に実験をARFKOマウス細胞を用いて行ったところ、ARF非存在下ではHuR発現阻害による細胞老化は誘導されなかった。次に野生型マウス細胞においてHuRの発現阻害によるARFタンパク質の変化について解析したところ、HuRのはつげ阻害によりARFタンパク質が顕著に誘導されていることが明らかになった。脂肪細胞の分化にはclonal expansionと呼ばれる一過的な細胞周期の進行が必要であり、細胞老化は細胞周期を恒久的に停止させる働きを持つ。従ってHuRの発現阻害はARFタンパク質の誘導とそれに伴う細胞老化を引き起こし、その結果clonal expansionを阻害することによって脂肪分化を抑制することが考えられる。 生体脂肪組織におけるHuRタンパク質の機能を知るために、HuRコンディショナルKOマウスを入手し、脂肪組織特異的CRE発現マウスと交配することにより、脂肪組織特異的HuR KOマウスの作製を試みた。これまでに目的のマウスを多数得ることが出来、マウスの表現型について解析を行っている。同時にHzf KOマウスとも交配することにより脂肪組織特異的Hzf/HuRダウブルKOマウスの作製を行い、解析を進めている。
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Research Products
(3 results)