2010 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモンのノンゲノミック作用によるp27kip1の調節機序とその意義
Project/Area Number |
22790884
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曹 霞 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70432218)
|
Keywords | 甲状腺ホルモン / ノンゲノミック作用 / p27kip1 |
Research Abstract |
T3よるp27^<Kip1>の調節分子機序を解明するために以下の実験を行った。1)まずは、pGL-IRES plasmidを作成し、N2aTRαとN2aTRβ細胞でReporter gene assayを行った。IRESはp27^<Kip1>mRNA上流にあるnon-coding sequenceであり、蛋白合成促進に関与する領域です。その結果、T3の添加はluciferase活性を増加しなかったため、p27^<Kip1>の蛋白合成効率に影響がないことを示唆した;2)次は、N2aTRαとN2aTRβ細胞を用いて、pulse-chase法で一定時間内に合成されたp27^<Kip1>蛋白を標識し、その後標識された蛋白がT3存在下、非存在下での経時的変化を追跡し、蛋白の安定性を検討した。その結果、N2aTRβ細胞で、T3はp27^<Kip1>蛋白安定性を促進したが、N2aTRα細胞では変化が認められなかった。また、N2aTRGS細胞でもN2aTRβと同じ結果を得られた。以上の結果から、T3はTRβのナンゲノミック作用を介して、p27^<Kip1>蛋白安定性を促進することを示唆した;3)さらに、N2aTRGS細胞をproteasome阻害剤LLnLやMG132で前処理し、p27^<Kip1>蛋白を免疫沈降後、抗ubiquitin抗体、抗p27^<Kip1>抗体を用いたWestern Blottingで、p27^<Kip1>のubiquitin化状態を検討した。その結果、T3はp27^<Kip1>のubiquitin化を抑制した;4)p27^<Kip1>のUbiquitin化はThr^<187>依存性と非依存性のメカニズムがあり、3)のように処理したN2aTRGS細胞のp27^<Kip1>のThr^<187>リン酸化を、Thr^<187>のリン酸化部位を特異的に認識できる抗体を用い、Western Blottingで検討した。その結果、T3がp27^<Kip1>のThr^<187>リン酸化を抑制した。 以上の結果はT3がp27^<Kip1>のThr^<187>リン酸化を抑制し、p27^<Kip1>のUbiquitin化を減弱することによってp27^<Kip1>の蛋白レベルを増加することを明らかにした。
|