2011 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモンのノンゲノミック作用によるp27kip1の調節機序とその意義
Project/Area Number |
22790884
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曹 霞 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70432218)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / ノンゲノミック作用 / p27kip1 |
Research Abstract |
ヒト肝細胞癌では、その70%以上がTRの変異を持つと言われている。これらの変異は主にTRのT3結合領域にあり、DNA結合領域だけの変異体はまだ報告が無い。T3の細胞分化作用がTRの変異で阻害されることが発癌の一つの原因だと考えられている。そこで、本研究は癌細胞におけるp27^<Kip1>のT3による調節とその意義を解明するために、ヒト肝細胞癌由来のHepG2細胞を用い、pcDNA3.1/TRGS(DNA結合能欠損)、pcDNA3.1/TRβ1-EとpcDNA3.1/TRβ1-J(両者はhepatocellular carcinoma患者に同定された変異体で、TRβ1-EはT3結合領域とDNA結合領域に変異を有し、TRβ1-JはT3結合領域だけに変異を有する)を導入し、これらのTRを恒常的に発現する細胞を樹立した。1)まず、これらの細胞にT3によるp27^<KiP1>の発現調節をWestern Blotting法で検討した。TRGS発現している細胞だけには、p27脇P1はT3により発現量が促進された。以上の結果から、T3はTRβと結合して、nongenomic作用を介して、P27^<Kip1>の発現量を調節することを強く示唆された。2)また、CK8 kitを用いて、癌細胞増殖に対するTR変異体の影響も検討した。その結果、TRGSではなく、TRβ1-EとTRβ1-Jを発現している細胞の増殖が促進された。この促進はp27^<Kio1>siRNAの導入することによって、抑えられた。 以上の結果から、T3はTRβと結合して、新たなnongnomicメカニズムを介してp27照P1の発現を促進し、そして細胞周期を制御することによって、細胞の分化を促進する一方、増殖を抑えたことを強く示唆された。
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