2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネスファチン-オキシトシン-POMC系による摂食・代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
22790887
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
前島 裕子 自治医科大学, 医学部, 助教 (40438669)
|
Keywords | ネスファチン / オキシトシン / プロオピオメラノコルチン(POMC) / 摂食 / 代謝 / 弓状核 / 室傍核 / 孤束核 |
Research Abstract |
2006年に満腹ペプチドとして発見されたNesfatin-1は中枢内において室傍核(PVN)オキシトシン、延髄孤束核(NTS)POMCを介して摂食抑制を引き起こすことをすでに明らかにした(Maejima et al.2009)。POMCニューロンは脳内においてARC、NTSの2つの神経核に分布するが、Nesfatin-1-オキシトシン-ARC POMC系の摂食調節は未検討である。さらにNesfatin-1の摂食調節以外の機能についても明らかになっていなかった。そこで本研究ではNesfatin-1のすぐ下流で作用するオキシトシンのARC POMCニューロンへの作用を明らかにし、さらにNesfatin-1の摂食調節作用以外の生理作用、特にストレス反応への機能を明らかにすることを目的とした。オキシトシンの中枢投与はARC POMCニューロンを活性化させ、その活性は直接的なオキシトシンの作用であることを明らかにした。また、組織学的にもオキシトシンの軸索終末がARC POMCニューロンの細胞体に近接していることを明らかにした。さらにNesfatin-1ニューロンは摂食作用以外にもストレス反応に深く関与することが明らかになった。ストレス負荷により脳内のNesfatin-1ニューロンの活性化が認められ、Nesfatin-1の脳室内投与はPVNの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)を活性化させ下垂体-副腎皮質系を賦活化させることも明らかになった。 22年度の研究では摂食調節においてPVN(Nesfatin-1-オキシトシン)-ARC POMC系が存在する可能性が新たに示唆された。またNesfatin-1は摂食調節に加え、ストレス反応にも深くかかわるホルモンであることを明らかにした。
|