2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネスファチン-オキシトシン-POMC系による摂食・代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
22790887
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
前島 裕子 自治医科大学, 医学部, 助教 (40438669)
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Keywords | ネスファチン / オキシトシン / POMC / 摂食 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに摂食抑制ペプチドNesfatin-1(Nesf)がオキシトシン(Oxt)がメラノコルチン依存的に摂食抑制する神経経路を明らかにした。POMCニューロンは脳内では弓状核(ARC)、延髄孤束核(NTS)に発現していることが知られており、この2領域の役割分担は不明であり、本研究はOxtを上流とするARC vs. NTS POMCニューロンの摂食調節における役割の解明を目的とした。Nesf-Oxtに経路によりNTS POMCニューロンが活性化し、摂食抑制することはすでに報告しているが、Oxtの効果系として、ARC POMCニューロンの関与の可能性も残されていた。そこでOxtの中枢投与を行ったところ、摂食抑制が見られ、ARCにc-FOS発現の増加が見られた。さらにPOMCニューロンの15%にc-FOSの発現が見られたことから、ARC POMCもOxtによる摂食抑制に関与していることが明らかになった。さらに単離したPOMCニューロンにOxtを作用させると、細胞内Ca^<2+>の増加が見られたことから、Oxtは直接ARC POMニューロンを活性化することが明らかになった。さらにOxtニューロンの軸索末端がARC POMCニューロンに接触していることも明らかになった。肥満病態であるZucker fatty Ratから単離したARC POMCニューロンでは、レプチンに対する反応性は低いにも関わらず、Oxtに対する反応性は対照であるZucker lean Ratと変わらなかったことから、OxtはARC POMCニューロンの活性化ペプチドであることが明らかになった。以上より、Oxtの効果系としてNesfが活性化した時にはNTS POMCニューロンの活性化が摂食抑制作用には重要であるが、他のOxt活性化因子が働いた時には、ARC POMCニューロンを介した神経経路の使い分けが中枢内で行われている可能性が示唆された。
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