2010 Fiscal Year Annual Research Report
白血病難治化分子BAALCによる幹細胞活性とニッチ制御機構の解明
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22790901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 幹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60463840)
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Keywords | 血液内科学 / 白血病 / 幹細胞 |
Research Abstract |
BAALC(brain and acute leukemia, cytoplasmic)は、予後不良の正常核型急性骨髄性白血病において発現が上昇する遺伝子として知られているが、その機能は明らかではない。当研究においては、誘導的・もしくは組織特異的にBAALC遺伝子を欠失させられるコンディショナル・ノックアウトマウスを作成した。骨芽細胞は造血幹細胞の未分化性を維持する微少環境を形成するニッチとして知られている。BAALCは骨芽細胞においてPTHにより発現が誘導されることが報告されているが、骨芽細胞においてもその役割は不明のままである。そこで、骨芽細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するColl-Creマウスとの交配により、骨芽細胞特異的にBAALCを欠失したコンディショナル・ノックアウトマウスを作成した。骨芽細胞特異的にBAALC欠失を誘導しても、血算の異常や骨髄における造血幹細胞の数の変化は認められなかった。しかし、骨芽細胞特異的にBAALC欠失を誘導したマウスをレシピエントとして放射線照射後、野生型マウスの正常骨髄細胞を骨髄移植すると、野生型マウスをレシピエントとしたコントロールと比較してドナーキメリズムの低下が認められた。このことから、骨芽細胞特異的にBAALCを欠失させると、骨髄移植時のようなストレス下において、造血幹細胞のニッチとしての機能が障害されることが初めて明らかとなった。造血幹細胞のニッチとしての骨芽細胞の機能には未だ不明な点が多いが、BAALCを通じてその機能の解明が進展することも示唆される。本研究の成果は、BAALCの造血における生理的役割を知る上で非常に重要な知見である。
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Research Products
(10 results)