2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルムス腫瘍関連癌抑制遺伝子WTXによる造血制御・白血病発症の機序解明
Project/Area Number |
22790902
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 文彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50326930)
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Keywords | WTX / 点突然変異 / DNAメチル化 / イントロン1 / CpGアイランド |
Research Abstract |
白血病幹細胞の自己複製にはWnt-βカテニン経路が重要な役割を果たしている。WTXはβカテニンのユビキチン化と分解に必要な分子であり、同経路に対して抑制的に作用することから、癌抑制遺伝子として作用すると考えられる。急性白血病および骨髄異形成症候群の患者50例の骨髄検体からゲノムDNAを抽出してWTX遺伝子の塩基配列を調べた結果、急性骨髄性白血病の1例に点突然変異を認めた。この変異型WTXが白血病発症に関与しているかを明らかにするために、293T細胞に野生型WTXあるいは変異型WTXを発現させた場合のコロニー形成能を観察した。野生型WTXの発現によりコロニー形成能は低下することから、WTXが癌抑制遺伝子として作用することが示唆された。一方、変異型WTXを発現させた場合も野生型WTXと同様にコロニー形成能が低下した。 以上の結果から、造血器腫瘍では点突然変異・欠失以外の原因によってWTXが不活化されると結論した。そこで、筆者はCpGアイランドのDNAメチル化に着眼した。WTX遺伝子はイントロン1にCpGアイランドを有しており、そのメチル化は遺伝子発現を負に制御する。造血器腫瘍腫瘍では、同CpGアイランドが高メチル化されているかどうかを調べるために、患者検体のゲノムDNAを用いてbisulfite sequencingを進めている段階である。ただし、X染色体不活性化(X inactivation)の影響を回避するために、男性患者の検体を用いて解析している。
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