2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルムス腫瘍関連癌抑制遺伝子WTXによる造血制御・白血病発症の機序解明
Project/Area Number |
22790902
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 文彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50326930)
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Keywords | WTX / 点突然変異 / DNAメチル化 / イントロン1 / CpGアイランド |
Research Abstract |
筆者は、WTX遺伝子の条件的ノックアウトマウスを樹立するために、WTX遺伝子のopen read-ingframe全長を含むエクソン2をCre-loxPシステムでノックアウトするターゲティングベクターを作成した。相同的組み換えにより、本ベクターを胚性幹(ES)細胞に導入した。これを用いてキメラマウスの樹立を試みたが、キメラ率の高い個体が全て早期死亡をきたした。この現象は、WTXが個体発生に必須の因子であることを意味する。すなわち、WTX遺伝子がX染色体上に位置するために、相同組み換えによって野生型WTXの発現が高度に抑制されることが原因である。 次に、WTX遺伝子の造血細胞における分子学的作用機序を解析した。レトロウイルズを用いてWTXを過剰発現させたところ、コロニー形成能は抑制された。また、急性骨髄性白血病(AML)の症例で認めたWTX点突然変異株を同様に過剰発現させたところ、コロニー形成能は同様に抑制された。その他の解析を行ったが、WTX野生株と変異株の機能に差異を認めなかった。このことから、(1)WTXが癌抑制遺伝子であること、(2)AMLで稀に報告されるWTX点突然変異が白血病発生に及ぼす影響は少ない、と結論した。 急性白血病の臨床検体を用いた、WTX遺伝子のDNAメチル化解析については、症例数が当初の想定よりも少ないために、解析数が不足している。そのために、本疾患の発症にWTX遺伝子のDNAメチル化がどの程度寄与するかについては、現時点で明確な結論が得られていない。 [まとめ] 1.WTX遺伝子は個体の発生に重要な遺伝子であると考えられる。 2.急性骨髄性白血病でみられるWTX遺伝子の点突然変異は、白血病発症に影響しない可能性が高い軸
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Research Products
(11 results)