2010 Fiscal Year Annual Research Report
CBF白血病におけるKIT遺伝子変異付加による予後増悪分子機構の解析
Project/Area Number |
22790911
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70546879)
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Keywords | 白血病 / シグナル伝達 / 肥満細胞腫瘍 / c-Kit遺伝子 |
Research Abstract |
KIT遺伝子の活性型変異は全身性肥満細胞症の原因となるが、KIT変異を有するCBF白血病においては肥満細胞の増加は明らかではない。また、KIT変異を有するCBF白血病は予後が不良であることが知られている。これらの知見にもとづいて、正常およびCBF変異を有する造血幹・前駆細胞の分化に対する活性型KIT変異の影響について検討を行っている。 マウス正常造血幹細胞および造血前駆細胞に、恒常的活性型KIT V814変異遺伝子を導入することにより、肥満細胞の前駆細胞であるKIT陽性、高親和性Fcε受容体I(FcεRI)陽性、Mac1陰性細胞への分化が誘導されることをin vitroの培養系において再確認した。また、CBF白血病の原因遺伝子であるCBFβ-MYH11を導入したマウス造血幹・前駆細胞に、変異型KIT遺伝子を導入し、細胞の形態観察、コロニーアッセイ、フローサイトメトリーを行うことで、系統分化への影響を解析した。その結果、形態的には好塩基球・肥満細胞に分化することはなく、また、肥満細胞の前駆細胞であるKIT陽性、FcεRI陽性、Mac1陰性細胞への分化は抑制されていた。さらに、ルシフェラーゼアッセイを用いて、CBFβ/MYH11遺伝子および活性型KIT遺伝子が転写因子活性に及ぼす影響を検討したところ、KIT V814遺伝子は、PU.1の転写因子活性を増加させ、CBFβ/MYH11遺伝子はその活性を低下させたが、KIT V814およびCBFβ/MYH11遺伝子を同時に導入するとその活性は増加した。 以上の結果から、今後、遺伝子導入した細胞をマウスに移植することにより、観察される白血病の病態を解析する。さらにCBF白血病の患者検体を用い、KIT変異の有無による遺伝子発現の差を解析することにより、KIT変異による予後増悪の機構を明らかにすることを目指す。
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[Journal Article] BCR-ABL but not JAK2 V617F inhibits erythropoiesis through the Rassignal by inducing p21CIP1/WAF1.2010
Author(s)
Tokunaga M, Ezoe S, Tanaka H, Satoh Y, Fukushima K, Matsui K, Shibata M, Tanimura A, Oritani K, Matsumura I, Kanakura Y.
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 285
Pages: 31774-31782
Peer Reviewed