2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790912
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松井 啓隆 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (60379849)
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Keywords | 7q欠損 / 急性骨髄性白血病 / 骨髄異形成症候群 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
われわれは染色体7q欠損AML/MDSの責任遺伝子候補としてふたつの類似遺伝子Kasumi(Samd9)とTitan(Samd9L)を単離し、その機能解析を継続している。マウスTitanタンパク質はその一部が細胞質内初期エンドソームに局在し、(サイトカイン刺激により)エンドソームに取り込まれたサイトカイン受容体の分解を促進していることが判明した。 Titanの発現を抑制すると、サイトカイン刺激によるサイトカイン受容体の細胞内への取り込み(エンドサイトーシス)は正常に起こり、受容体は初期エンドソームに運ばれる。しかしながら、その後のサイトカイン受容体を含有する初期エンドソームどうしのhomotypicな融合が抑制され、エンドソームの肥大化が起こらなくなる。初期エンドソームの融合は、それに引き続くサイトカイン受容体の後期エンドソーム・リソソームへの運搬に必要なステップであるが、Titan発現抑制細胞ではこれが抑制されるために、サイトカイン受容体が初期エンドソームに活性化されたままの状態で蓄積される。その結果、サイトカイン・シグナルの活性化が遷延し、細胞の増殖や運動能が亢進することがわかった。また、これと並行してTitan遺伝子欠損マウスの表現型解析をすすめ、Titan遺伝子の片アレル・両アレル欠損が実際に夥粒球系白血病とMDS様の造血器腫瘍の発症に促進的に作用することを確認した。以上の解析により、Titanの欠損がサイトカイン・シグナルの異常活性化につながるメカニズムの大要が判明したため、現在論文投稿準備をすすめている。
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