2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790920
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
細川 健太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90569584)
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Keywords | 遺伝子 / 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 再生医学 / 蛋白質 / 発生・分化 |
Research Abstract |
平成22年度はまず、骨髄から採取する造血幹細胞の純化方法の改善を行った。具体的には、これまで用いてきたSlamマーカーに加えてCD34を用いること、さらに造血幹細胞特異的に発現する分子であるEvi-1ノックインGFP遺伝子改変マウス(東京大学、黒川峰夫博士供与)を用いることで、これまで採取してきた細胞群よりも均一な細胞群として造血幹細胞を採ることができるようになった。この方法で採った幹細胞のPDCを網羅的遺伝子解析の系で発現遺伝子のプロファイリングを行ったところ、いくつかの遺伝子においては発現パターンが対称的なものと非対称的なものに区別できることが分かった。 次に上述の解析系を、実際に幹細胞の増殖期モデルに適用する実験を行った。モデルとしては5-FU投与後8日目の造血幹細胞を用いて、非投与群(コントロール)との比較を行った。PDCの遺伝子発現解析の結果、コントロールと比較して投与群では、対称的な発現パターンを示す遺伝子(例:Tie2など)が増加することが分かった。また一方で、この増殖期の造血幹細胞の発現パターンについて、免疫染色によるタンパク質レベルでの分子分配パターニング解析を行ったところ、遺伝子解析結果と同様にTie2などは分配パターンに対称性が見られることが分かった。 以上より本年度我々は、(1)改善された単一細胞での網羅的遺伝子解析系を確立し、(2)幹細胞増殖期モデルにおいて、対称的に動く遺伝子群を特定、さらに(3)これらの分子の分配をタンパクレベルで確認する系を確立できたことから、今後の細胞の増幅に関与する分子の特定とその機能解析に関する基盤を確立できたと考えられる。
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