2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790920
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
細川 健太郎 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (90569584)
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Keywords | 造血幹細胞 / 非対称分裂 / 単一細胞 / Tie2 / Angiopoietin-1 / Paired daughter cells / single cell / 体外増幅 |
Research Abstract |
本研究は、造血幹細胞の分裂から産生された一対の娘細胞(Pired Daughter Cells ; PDC)の各々の発現遺伝子を単一細胞単位で検討し、非対称性の分裂機構を明らかにすることを目的とした。 本研究では、Evi-1ノックインGFP改変マウスを用い、極めて厳密に純化された造血幹細胞に対し単一細胞レベルでの遺伝子発現解析を行った。 1回分裂後の各PDC間における発現遺伝子プロファイルの比較を行ったところ、Tie2の発現は、PDC間において非対称な分配の差が顕著で、より未分化な娘細胞においてTie2の発現が維持されることが考えられた。次に5-FU投与後8日目の造血幹細胞を増殖期幹細胞のモデルとして用い、各PDC間における遺伝子発現パターンの比較を行った。すると非投与群のPDC間では非対称的な分配を受ける造血幹細胞マーカーTie2が、増殖期の幹細胞では対称的に発現することが分かった。また、免疫染色法を用いたタンパク質レベルの解析からも、増殖期の造血幹細胞においては、Tie2あるいはCD48は対称的に分配が起こることが分かった。これらの結果から、定常時の造血幹細胞におけるTie2の発現は未分化な幹細胞側にのみ分配されるが、増幅期の対称分裂の際には、Tie2は均等に分配されることが示唆された。さらに我々は、造血幹細胞培養下において、Tie2のリガンドAngiopoietin-1(Ang-1)を添加し幹細胞の分裂様式に与える影響を検討した。すると、Ang-1非添加群に比べ添加群では非対称に分裂するPDCが増加することが分かった。このことから、Tie2/Ang-1シグナルの増強は幹細胞の分裂様式を非対称なものにシフトさせることが考えられた。 本研究の知見は、造血幹細胞の分裂様式の操作や、幹細胞の増幅のための基盤となることが期待される。
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