2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の遺伝的易血栓性に関わる点変異ノックインマウスの樹立と解析
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22790923
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
坂野 史明 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子病態部, 研究員 (00373514)
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Keywords | プロテインS / プラスミノーゲン / ノックインマウス / 遺伝子変異 / 日本人の血栓症 / 血液凝固 / 線溶 |
Research Abstract |
血液凝固、線溶やその制御に関わる因子の遺伝的異常は血栓症のリスクとなるが、原因となる遺伝子変異は人種間で異なる。当研究室では、日本人の静脈血栓症の遺伝素因として凝固制御因子プロテインSのK196E変異を同定した。本変異は日本人の約55人に1人と高頻度に認められる。また、線溶因子プラスミノーゲンのA620T変異(マウスではA622T)も日本人の約25人に1人の頻度で認められ、潜在的な血栓性リスクとなっている可能性がある。本研究では、これらの変異の影響を個体レベルで解析するためのモデル動物として、プロテインS-K196E変異ノックインマウス、プロテインSノックアウトマウス、プラスミノーゲン-A622T変異ノックインマウスの3系統の変異マウスを新たに樹立した。本年度は、各変異マウスから血漿を採取し、プロテインS-K196Eおよびノックアウトマウスでは抗凝固活性が、プラスミノーゲン-A622Tマウスでは線溶活性が、それぞれ低下することを確認した。さらに、脳梗塞に及ぼす変異の影響を解析するため、局所脳虚血-再灌流モデルを用いた検討を行った結果、いずれのマウスにおいても脳梗塞巣の拡大や神経症状の悪化は認められなかった。これまでプロテインS-K196E変異およびプラスミノーゲン-A620T変異と脳梗塞との関連を示す報告は無く、変異マウスはこれを裏付ける表現型を示した。これらの変異マウスは、日本人の血栓症の特徴を有していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した3系統の変異マウスの樹立に成功し、C57BL/6J系統への戻し交配により共通の遺伝的背景の下に変異の影響を解析できる環境を整備した。導入した変異が血漿プロテインS活性またはプラスミノーゲン活性低下につながることを確認し、局所脳虚血-再灌流モデル実験も完了したため、研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、3種類の静脈系血栓モデル(肺塞栓モデル、深部静脈血栓症モデル、腸管脈静脈傷害モデル)を用いて、静脈血栓症におけるプロテインS-K196E変異およびプラスミノーゲン-A620T変異の影響を解析し、変異マウスの表現型を確立する。
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Research Products
(12 results)