2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規サイトカインTSLPの細胞内情報伝達機構理解に基づくアレルギー治療戦略
Project/Area Number |
22790935
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
有馬 和彦 佐賀大学, 医学部, 講師 (60336112)
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Keywords | アレルギー疾患 / TSLP / サイトカイン受容体 / 樹状細胞 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
上皮細胞が損傷に応じて産生するサイトカインTSLPは,免疫系への抗原提示を担う樹状細胞に作用することで宿主の免疫応答をアレルギー性炎症へ向かせている。そこでTSLPの作用を阻害することができればステロイド剤による非特異的免疫反応抑制とは異なる特異的な抗アレルギー戦略となる可能性が高い。阻害戦略を確立するにはまずTSLPの細胞への作用機構を明らかにする必要があるが,TSLPがいかなる細胞内情報伝達経路を活性化するのかは私どもの先行研究でその一端が明らかになったものの(Arima et al. Sci Signal 3: ra4, 2010),未だにその全容は解明されていない。 平成22年度には,研究実施計画に従い,まず,ヒト末梢血からの骨髄系樹状細胞の単離を行った。この細胞を各種刺激(TLRリガンド,サイトカイン)で刺激することでTSLP受容体の発現レベルが変化するか否かを評価したところ,特定のTLRリガンドおよびサイトカイン刺激に応じて発現増強/低下する現象が確認された。すなわち樹状細胞のTSLPへの反応性は微小環境刺激に応じて変化し得ることが示唆された。ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)はTSLP受容体を発現していないため,TSLPに反応しない。同細胞においてTSLP受容体を発現させることができればTSLPシグナルを解析するための試料として有用だと考えられたが,これまでのところMoDCにTSLP受容体発現を誘導する試みは失敗に終わっている。 さらに,TSLP受容体を安定的に発現させた細胞株を樹立した。この細胞をTSLPで刺激し,細胞内シグナル経路活性化の評価を試みたが,ヒトプライマリー樹状細胞で見られるような多彩なシグナル経路の活性化は見られなかった。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Endotoxin tolerance attenuates airway allergic inflammation in model mice by suppression of the T-cell stimulatory effect of dendritic cells.2010
Author(s)
Matsushita H, Ohta S, Shiraishi H, Suzuki S, Arima K, Toda S, Tanaka H, Nagai H, Kimoto M, Inokuchi A, Izuhara K
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Journal Title
International Immunology
Volume: 22
Pages: 739-747
Peer Reviewed
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