2010 Fiscal Year Annual Research Report
Liver X受容体を介したアレルギー性炎症の制御
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22790946
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
布村 聡 日本大学, 医学部, 助教 (70424728)
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Keywords | アレルギー性炎症 / マスト細胞 / 核内受容体 |
Research Abstract |
本年度は,Liver X受容体(LXR)を介して発現が抑制されるマスト細胞の炎症性サイトカインの同定をGene Chipを用いた網羅的解析により,行なった。ステロイドで処理した群との比較により,LXR選択的に発現が抑制される遺伝子として298遺伝子を同定したが,炎症性サイトカインは存在しなかった。また,ステロイドにより発現が抑制される1205遺伝子群の内,LXRによっても抑制される遺伝子が517個認められ,それらの遺伝子群に,炎症性サイトカインとしてIL-3,IL-1α,IL-1β,CXCL1等が含まれていた。一方でIL-6やTNF-αに対するLXRの発現抑制作用はほとんど認められなかった。TNF-α,IL-1α,IL-1βに関してELISA法により,タンパク質レベルでの発現抑制作用を解析した結果,Gene Chipで得られた結果と同様に,IL-1αおよびIL-1βに対しては発現抑制作用が認められたが,TNF-αに対しては発現抑制作用が認められなかった。さらに,LXRα欠損マウスから調製したマスト細胞を用いて解析を行なった結果,野生型のマスト細胞と同様にLXRの活性化によりIL-1αおよびIL-1βの発現が抑制されることが明らかになった。以上の結果から,LXRの活性化はマスト細胞におけるIL-1αおよびIL-1βの発現を転写レベルで抑制することが明らかとなり,また遺伝子欠損マウスを用いた解析結果からは,LXRαではなく,もう一つのLXR isoformであるLXRβにより発現抑制機構が制御されている可能性が示唆された。
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