2010 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の発症においてケラチノサイトと炎症性細胞とが果たす役割の解明
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22790949
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安田 琢和 独立行政法人理化学研究所, アレルギー免疫遺伝研究チーム, 研究員 (00373374)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 好中球 / 好酸球 / 黄色ブドウ球菌 |
Research Abstract |
平成22年度は当初の実験計画に基づき、新たに樹立したアトピー性皮膚炎を自然発症するミュータントマウス(spadeマウス)を用いて、皮膚炎発症に関わる炎症性細胞の解析を行った。 1.発症に関わる因子の、自然発症もしくは表皮バリア破たんを促した皮膚の解析 詳細な解析を行うために、表皮バリア破たんを促すモデルの作製を行った。アトピー性皮膚炎の発症には細菌感染の関与が示唆されているので、その細菌成分(黄色ブドウ球菌プロテインA)を有機溶剤(SDS)と共にspadeヘテロマウス(SPF飼育環境では自然発症しない)に対し毎日皮膚へ塗布した。この結果、8週間後の皮膚では強い乾燥が認められ、組織学的解析においても皮膚の肥厚と炎症細胞の浸潤が認められた。しかしながら重度の炎症像は見られなかった。このことは、皮膚炎症の発症には、さらに多数の炎症細胞、もしくは別のタイプの炎症細胞が必要であることを示していると考えられる。このため、自然発症モデルでの詳しい解析、そして下記のdepletion実験を進めて行く。 2.皮膚炎症に関わる細胞の特異的中和抗体を用いたdepletionによる同定 spadeマウスとそれぞれの細胞欠損マウスとの交配実験から、T細胞、B細胞、肥満細胞の可能性は否定できたので、好中球、好酸球、NK細胞について検討することとした。これらに対する抗体(抗Gr-1、抗NK1.1)を産生するハイブリドーマ細胞から大量に精製し、マウスへの投与実験を行った。その結果、十分なdepletion効果を確認したが、一方で長期間にわたり繰り返し投与を行うと効果が薄れてしまうも確認できた。これは、マウス体内で投与した抗体に対する抗体が作られることが原因であると考えられる。そこで現在は、投与スケジュールの見直しによる投与量、回数の削減、投与抗体の高度な精製、さらには、抗体を産生せず、かつ皮膚炎は発症することを確認しているRAGIKO-spadeマウスでの投与実験、などの対応策の検討を行っている。
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Research Products
(1 results)