2011 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎に対する適切な診断方法の確立
Project/Area Number |
22790954
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
谷口 亜裕子 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (30403885)
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Keywords | ヒトヘルペスウイルス6 / ヘルペスウイルス感染症 / ウイルス学 / 感染症学 / 染色体 |
Research Abstract |
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は同種造血幹細胞移植後に再活性化により各種感染症をひき起こすことが知られている。特にHHV-6脳炎は診断が遅れれば短期記憶障害など重大な後遺症残すため、早期診断・治療が望まれる。一方、HHV-6の急性感染および再活性化とは異なり、当該研究機関においてHHV-6は感染細胞の染色体に組み込まれて存在し、そしてそれが遺伝的伝播を受ける感染形態があることを世界に先駆けて発見した。したがって、HHV-6脳炎を診断する場合、「通常のHHV-6潜伏感染」からの再活性化なのかあるいは「染色体に組み込まれたHHV-6感染(chromosomally integrated HHV-6 : CIHHV-6)」からのHHV-6を検出しているのかを明確に判別する必要がある。本年度は、このHHV-6の染色体への組み込み機序について解析した。 HHV-6の染色体への組み込みはテロメア領域に限局することが示されているが、その詳細は不明である。これまでの報告では、組み込まれる染色体のテロメア領域は、1q44、9q34、17p13、18q23、1913、22q13であるが、今回本研究課題の遂行過程において、HHV-6がXp22のテロメア領域に組み込まれている症例を見出した。この細胞にHerpesvirussai磁iriを感染させることにより、CIHHV-6陽性細胞株の樹立に成功した。このことより、CIHHV-6の解析に役立つ新たなin vitroの系を確立できた。 CIHHV-6を持つ個体では、「通常のHHV-6潜伏感染」と比較すると、高コピー数のHHV-6が検出されることから、造血幹細胞移植後早期に高コピー数のHHV-6が検出される場合は、CIHHV-6である可能性が考えられる。
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