2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790956
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 誠 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (30317333)
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Keywords | 敗血症 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
敗血症は、しばしば致命的となる重篤な疾患で、感染症を原因とする全身性炎症反応症候群である。敗血症においては、免疫反応の抑制、不応性状態をきたし、病態悪化に寄与するとされるが、近年その機序に宿主の免疫細胞(樹状細胞、ヘルパーT細胞、制御性T細胞など)の遺伝子発現がエピジェネティックな発現制御を受けることが報告されている。 本研究は敗血症におけるエピジェネティック制御機構に関し、前年度に引き続き、敗血症において重要なM2マクロファージと、さらに好中球に注目して検討した。 敗血症後の腹腔内マクロファージを腹腔内洗浄により採取し、M2マクロファージの特異的マーカー(M2マーカー)であるFIZZ1,Arg1,Ym1をreal time PCR法にて検討した。敗血症マウスの腹腔内マクロファージのM2マーカーはコントロールマウスに比べて上昇傾向であったが、有意差は見られなかった。各M2マーカーのプロモーター領域におけるピストン修飾に関しても転写活性を低下させるH3K27me3が低下傾向であったが有意差は見られなかった。 さらに、敗血症における好中球におけるエピジェネティクスに関して検討を加えた。敗血症においては好中球上のCXCR2の発現が低下し感染巣への好中球集積の減少をきたし重症化することが知られている。敗血症マウスの末梢血好中球でのCXCR2の発現は低下した。同プロモーター領域において、転写活性を活性化するピストンH3のアセチル化は低下しており、CXCR2の低下にアセチル化を介したエピジェネティクスが寄与している可能性を示した。 また、ピストンH3リジン4(H3K4)のメチル化酵素であるMLLのヘテロ欠失マウスの検討では敗血症後の生存率が上昇しH3K4me3の寄与を示した。
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Research Products
(3 results)