2010 Fiscal Year Annual Research Report
細菌ストレス応答におけるキノロン耐性化因子の役割に関する研究
Project/Area Number |
22790958
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
嵯峨 知生 東邦大学, 医学部, 助教 (80459809)
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Keywords | 感染症治療学 / 抗菌化学療法 / 薬剤耐性 / 細菌ストレス応答 / キノロン系抗菌薬 / qnr |
Research Abstract |
病原微生物の薬剤耐性は臨床上大きな問題である。研究代表者らが研究してきたキノロン系抗菌薬耐性化因子qnrBは、大腸菌においてSOS応答というスト トレス応答制御下にあることが報告された。しかしストレス応答因子としてのQnrBの役割は十分説明されていない。菌側の重要な生存戦略であるストレス応答はSOS応答以外も多種存在し役割や誘因も多様であるが、遺伝子水平伝播の促進を通じて細菌の薬剤耐性化や病原因子獲得に関与する例も知られる。 申請者らは、QnrBの細菌における薬剤耐性、およびそれ以外における役割を解明することを通じて、病原微生物の薬剤耐性および病原性制御につながる重要な基礎的知見を得ることを目的として本研究を行っている。 本年度の主な進展を以下に簡単に述べる。 1)qnrB保有菌株の各種条件における各遺伝子の転写量の変化 本研究では、ストレス応答因子としてのQnrBの役割を明らかにすることを目標としている。Cbraakii ATCC51113Tにおいて定量RT-PCRを行って各遺伝子の転写量を比較検討した結果、キノロン曝露によって、qnrB遺伝子の転写は、代表的なストレス応答系であるSOS応答関連遺伝子とともに増加した。他の薬剤や他の物理的条件においても追加検討する予定にしている。 2)qnrBノックアウト菌株の作成 qnrBの役割をisogenicな菌株同士で確認するため、C.braakii ATCC51113^TにおいてLambda-Red recombinaseの系を利用してqnrBのノックアウト菌株の作成を試みている。C.braakii ATCC51113^Tはアンピシリン自然耐性であったことが障壁となっていたが、選択薬剤の工夫により、ヘルパープラスミドpKD46を導入しえた菌株の選択に成功した。相同組換えを利用してqnrBノックアウト菌株を作成し、さらにSOS応答系の変異した菌株も作成して比較する予定である。
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