2010 Fiscal Year Annual Research Report
劇症型溶血性レンサ球菌感染症における新規インターフェロンγ産生細胞の機能解析
Project/Area Number |
22790959
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松村 隆之 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (50434379)
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Keywords | 感染症防御学 / 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 / IFN-γ |
Research Abstract |
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、発症すると急速に進行し、ショック症状、多臓器不全などを伴う致死率が30~70%の重篤な感染症であり、大部分がA群レンサ球菌(Group A Streptococcus ; GAS)によって引き起こされる。本感染症は、上気道炎、猩紅熱などのそれまでの非劇症型溶血性レンサ球菌感染症と全く異なる病態を示すことや、集団感染が極めて稀なことから、発症や病態に病原因子だけではなく宿主因子の関与も考えられている。劇症型感染発症と病態に対する炎症メディエーターの関与は不明であることから、本研究ではまず血中サイトカイン量について検討した。ヒト劇症型感染例および劇症型感染臨床分離株を感染させたマウスの血中サイトカイン量を測定した結果、種々のサイトカインの中でも特にIFN-γ量が増大していることが明らかとなった。しかしながら非劇症型感染臨床分離株を感染させたマウスにおいてはIFN-γ量の増大が認められなかったため、IFN-γが劇症型感染おいて何らかの役割を担うことが示唆された。そこで、IFN-γ産生細胞を同定するために、劇症型感染臨床分離株を感染させたマウスの脾臓、末梢血および骨髄細胞についてフローサイトメトリー解析および形態学的解析を行った。その結果、劇症型感染早期では、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、好中球、好酸球、抗塩基球、単球、マクロファージおよび樹状細胞とは異なる環状核骨髄系細胞からIFN-γが産生されることが明らかとなった。現在、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の発症と病態に対する環状核骨髄系細胞の役割について解析中である。
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